現在編23−衝撃の事実2― ページ31
だが話を聞いた時、なぜか覚えがある様な気がしたのだ。
ところどころ脳裏に情景も浮かび上がってきた。
それらを考えると、このとんでもない話を信じざるをえなくなる。
「それで・・・今回は勇者の剣をイレブン、貴方が入手できた事で、ひとまず世界の崩壊は回避されたのね?」
「はい」
Aの問いに頷くイレブンの傍らで、それまで黙っていたグレイグが口を開いた。
「にわかには信じられぬ話だが・・・」
半ば呆けた様に言うと、今度はホメロスの方へ目を向けた。
「ホメロス、お前ほどの男がなぜこの様なマネをしたのだ。共にデルカダールを守ると言う誓いを、俺は今まで信じていたのだぞ・・・!」
絞り出す様なグレイグの声に、全員が将軍2人の成り行きを見守る。
Aが何気なくイレブンに目を向けると、イレブンは無言で頷き返してきた。
再度グレイグとホメロスを見やると、やがてホメロスが口を開いた。
「お前が賞賛を浴び、光り輝くほどに私は影になっていった。なぜお前だけが力を得る、なぜお前だけが褒め称えられる、そう繰り返し思う様になった時、ウルノーガ様の・・・ウルノーガの声が私の頭に響いた。私を認めていると、認めぬ王やほかの者が愚かなのだと。初めは抗ったが・・・屈してしまった」
吐き捨てる様に言うと、ホメロスの口元に自嘲めいた笑みが浮かぶ。
「それからの私はウルノーガの手足となり、表ではデルカダール王に従うフリをしてウルノーガの望むままに魔の力を奮った。結果、お前たちの返り討ちに遭い、口封じをされそうになる始末だ。今となっては虚しいものでしかないが・・・グレイグ、私はお前の様になりたかった」
そこまで言うと、ホメロスはグレイグから視線を逸らし、口をつぐんでしまった。
グレイグはと言えば、目を見開き、すぐ自分の前にいるホメロスを何か奇妙なものでも見るかの様に凝視している。
ホメロスが話していた時とはまた違った緊張した空気が流れ、A、ロウ、マルティナがどうしたものかと顔を見合わせようとした時。
「何を・・・言っているのだ、ホメロス?」
ぎこちなくも口を開いたのはグレイグだった。
薄暗く狭い牢の中、A達4人は固唾をのんでグレイグとホメロスを見守る。
「俺は王に拾われて以来、ずっとお前の背中を追い続けて来たんだぞ。剣術、馬術、勉学、いずれもお前を目標にしていた。―――お前こそ、俺の光だった」
「・・・!」
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遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、最後まで読んでいただきありがとうございました!またお気遣いのお言葉も、本当に嬉しく思います。短編の方も頑張って更新していきますので、またよろしくお願いいたします。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 完結おめでとうございます!お体を優先に気長に短編お待ちしております。本当に大好きな作品でした。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、コメントありがとうございます。ホメロスへの救い欲しさが募り、この連載の執筆に至りました。楽しみにして頂いているとの事、とても嬉しいです!頑張って更新していきたいと思います。これからもよろしくお願いします。 (2018年5月14日 10時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 初コメ失礼します。この小説とても楽しみに読ませて頂いてます!更新頑張ってください! (2018年5月14日 10時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遠山すずか | 作成日時:2018年4月26日 18時