現在編１４−疑惑２ デルカダール城− ページ22
実際あれから気まずくなり、Aは心の奥でホメロスを避けたくなってしまっていた。
それなら目論見は成功した事になるが・・・
だがホメロスにしては賢い手口とは言い難い。本来の彼ならいくらでも巧く立ち回れるはずだ。
どうしても腑に落ちない。
そこまで考えて、Aは再度曇り空を見上げた。
昨日、遥か北の王国クレイモランより応援要請があり、それに答えるためにグレイグは再度城を発った。
Aとしても賊の討伐にすぐ出かけたかったが、体調不良で鍛錬を休んでしまい、しばらくはカンを取り戻すのに専念せざるをえなかった。
クレイモラン、ソルティコでグレイグが剣の修業に明け暮れていた頃ホメロスが知識を学んでいた国でもある。
先代の亡き王から王位を受け継ぎ、現在かの王国を治めているのはマルティナやAと同じ年頃の若い女王と聞いていた。
16年前のユグノア滅亡事件でうやむやになってしまったが、それがなければAもソルティコで剣、或いはクレイモランで勉学に励んでいたかも知れない。
「いつか私も、古代図書館の書物読めるかしら」
溜息と共に、そんな呟きをAは吐き出した。
数日後、クレイモランの情勢復活に伴い、グレイグが凱旋した。
何でも魔女リーズレットなる者により、城及び城下町が凍り付いていたらしい。
友好国がそんな惨事に見舞われていたのも驚いたが、それ以上にグレイグの様子が気になった。
王の命を忠実にこなして帰って来たのだから、もう少し充実した顔をしていてもよさそうなものだが。
それどころかマルティナ生存をAに知らせた時よりも、更に暗い表情をしている。
デルカダール王とホメロスは、重鎮たちや数名の重装兵らと共に今回のクレイモランについて会議を行っている。
何があったのか聞くのは今しかない。
ダーハルーネでの事についてグレイグと話した際、それをホメロスに聞かれていなかったのはよかったが、また誤解されて組み敷かれるのは勘弁願いたい。
そう思い立ち、自室を後にして廊下を歩いているAを呼び止める声がかかった。
振り向くと、グレイグその人の姿があった。
Aが口を開く前にグレイグは一言発した。
「A、後日城を発つホメロスを追うぞ」
グレイグの表情は恐ろしいほど真剣だった。
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遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、最後まで読んでいただきありがとうございました！またお気遣いのお言葉も、本当に嬉しく思います。短編の方も頑張って更新していきますので、またよろしくお願いいたします。 (2018年5月25日 16時) (
レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 完結おめでとうございます！お体を優先に気長に短編お待ちしております。本当に大好きな作品でした。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、コメントありがとうございます。ホメロスへの救い欲しさが募り、この連載の執筆に至りました。楽しみにして頂いているとの事、とても嬉しいです！頑張って更新していきたいと思います。これからもよろしくお願いします。 (2018年5月14日 10時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 初コメ失礼します。この小説とても楽しみに読ませて頂いてます！更新頑張ってください！ (2018年5月14日 10時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遠山すずか | 作成日時：2018年4月26日 18時
