現在編９−雷雨の晩の報告― ページ17
クラーゴンが出たのは本当かと聞いてみたら、傍にいた友人であり町長の息子でもあるヤヒムと競い合う様に話し始めた。
2人の話を聞くうちに、Aは自分の顔が強張って行くのがわかった。
ヤヒムが街の外に出た時、物陰から話し声が聞こえてきた。
見てみると、ホメロスが魔物と話をしており、驚いて悲鳴をあげたら魔法で喉に呪いをかけられ、言葉を発する事ができなくなってしまったと言うのである。
それを知った悪魔の子一行が持ってきたさえずりの蜜により、ヤヒムは再び声を取り戻した。
少年たちの話を聞き終えたあと、Aはどうにか笑顔を作り、2人に礼を言って別れた。
自分で自分の表情は確認できないが、その時眉間にかなり深いしわが寄っていただろうとAは思う。
魔物と話していた所を目撃されて口を封じようとするなんて、後ろめたい事をしていると言っているようなものではないか。
露店で売っていたケーキをぱくつきながら考えても、心にかかったもやは晴れない。
小部隊ともとりとめのない会話はしたかもしれないが、何を話したのか全く記憶にない。
デルカダールからの迎えの船に乗り込んでももやは払しょくできず、こうなったら戻ってきた時本人に問いただしてやろうと踏ん切りが着いたのはデルカダールに到着した時だった。
Aの話を聞き終わると、グレイグはようやく顔を微かに上げた。
「ホメロスが…なぜ…」
「私もわからない。ずっと考えてたけど埒が明かないから一旦やめたわ。今度は私の番、グレイグ、貴方に何があったのか話して頂戴」
「あ、ああ…」
ホメロスの事も気にかかっただろうに、グレイグは頷いた。
今はホメロスよりも優先順位が上なのだろう、1度に2つの事を考えられるほどグレイグは器用ではない。
グレイグは一息つくと、一言こぼした。
「姫さまが…マルティナ姫が生きておられた」
「え…？」
Aは稲妻にでも打たれた様に、呼吸と思考が一瞬停止した。
思いもかけない言葉に自分の耳を疑う。
「今、何て…」
「マルティナ姫が生きておられたんだ」
「……」
まずは大きな驚き、それからやや遅れて喜びが込み上げる。
マルティナが、大事な親友が生きていた！！
「それで！？マルティナは今どうしてるの！？元気なの？！」
Aはグレイグのもとまで駆け寄り、矢継ぎ早に質問を重ねた。
マルティナを呼び捨てにしたAに、今グレイグから咎めはなかった。
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遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、最後まで読んでいただきありがとうございました！またお気遣いのお言葉も、本当に嬉しく思います。短編の方も頑張って更新していきますので、またよろしくお願いいたします。 (2018年5月25日 16時) (
レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 完結おめでとうございます！お体を優先に気長に短編お待ちしております。本当に大好きな作品でした。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、コメントありがとうございます。ホメロスへの救い欲しさが募り、この連載の執筆に至りました。楽しみにして頂いているとの事、とても嬉しいです！頑張って更新していきたいと思います。これからもよろしくお願いします。 (2018年5月14日 10時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 初コメ失礼します。この小説とても楽しみに読ませて頂いてます！更新頑張ってください！ (2018年5月14日 10時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遠山すずか | 作成日時：2018年4月26日 18時
