現在編４−悪魔の子の逃亡― ページ12
デルカダール地下牢。
中でも最下層のそれは重罪人を閉じ込めるための場所であり、投獄された者は永遠の太陽を拝む事ができないと言われている。
「悪魔の子」勇者――名をイレブンと言うらしい――を投獄したのは正にその場所だった。
訳が分からないと言った様子のイレブンをその一室に放り込み、施錠した扉ごしにグレイグは容赦なく言い放った。
「お前の言った事が真実か…3日もすればわかるだろう。その頃には探索にでたホメロスが戻ってくる。災いを呼ぶ悪魔の子よ。お前の命もそれまでと思うがいい」
イレブンから視線を逸らし、A達部下を引き連れてもと来た通路を戻っていく。
Aは一瞬立ち止まり、イレブンと再度視線が合った。
玉座と同じく、やはり罪悪感を覚えながらも短く忠告する。
「ここでおとなしくしていなさい。…貴方もね」
最後の一言はもう1人の囚人に向けて言う。
くしくもイレブンを投獄したのは、先日Aが捕えた盗賊の向かいの牢だった。
「A！何をしているのだ。戻るぞ」
「今行きます、グレイグ将軍」
呼びかけに答え、Aは足早に歩きだした。
「た、大変だ！！悪魔の子が逃げたぞ！！」
1人の兵士によって、勇者イレブンの脱獄が知らされたのはその日の夜の事だった。
聞けば、なぜか警備がいつもより緩く見張りをしていた兵士は気絶させられ、勇者の牢はもぬけの殻。
更にはAが捕えた盗賊もおらず、代わりに地面に人ひとり通れる程の抜け穴が残されていたらしい。
地下水路を方々探し回り、断崖絶壁まで追い詰めたはいいが、勇者と盗賊、2人して崖下に飛び降りたと言う。
同僚から一部始終を聞かされたAは、激しい憤りを覚えた。
警備が緩かったのは、どうやら何者かに金を掴まされての事だったらしい。
ロトゼタシア一を誇るデルカダール兵士ともあろう者が、不謹慎も甚だしい。
騎士としての誇りはどうした。情けないと思わないのか。
そう怒鳴りたいAだったが、今そうしても仕方がない。
自分で捕まえた盗賊だ。できれば自分で追いかけて再度捕まえたい。
そう決意した矢先、またひと騒動が起きた。
何と勇者が育った村の人間(と犬)がごっそり城に連れてこられたのである。
デルカダール王の命に従い、初めは村人を皆殺しにしようとしたホメロス達だったが、グレイグがそこまでする必要はないと止め、代わりに城内に軟禁する事になったらしい。
Aはそこで更に、勇者は悪魔の子と言う説に対し疑問が深まる事になった。
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遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、最後まで読んでいただきありがとうございました！またお気遣いのお言葉も、本当に嬉しく思います。短編の方も頑張って更新していきますので、またよろしくお願いいたします。 (2018年5月25日 16時) (
レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 完結おめでとうございます！お体を優先に気長に短編お待ちしております。本当に大好きな作品でした。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、コメントありがとうございます。ホメロスへの救い欲しさが募り、この連載の執筆に至りました。楽しみにして頂いているとの事、とても嬉しいです！頑張って更新していきたいと思います。これからもよろしくお願いします。 (2018年5月14日 10時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 初コメ失礼します。この小説とても楽しみに読ませて頂いてます！更新頑張ってください！ (2018年5月14日 10時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遠山すずか | 作成日時：2018年4月26日 18時
