爽やかじゃない朝 ページ1
シャワーから上がったAちゃんを直視することができなかった俺は、そのままAちゃんとクルムをリョウクの部屋に押し込み、それぞれの部屋で寝ることにした。
もちろん、同じ屋根の下にAちゃんがいると思うだけで俺はもう…
寝れるわけがないだろ!
健康な成人男性だぞ!
そんな悶々とした気持ちでベッドの中でゴロゴロと転がって夜を明かした。
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「おはよう。勝手にキッチン借りちゃった。」
何時に起きましょうとも約束はしてなかったけど、キッチンからの物音で寝たような寝てないような頭が徐々にクリアになって、Aちゃんが来てる事を思い出して飛び起きた。
「おはようございます。
うわー朝ごはんだ。ありがとうございます。」
寝癖でボサボサの頭を直すのも忘れてAちゃんの作ってくれた朝食にありつく。
「今朝ね、念願の…
クルムに起こされちゃったのー!」
「あは、それで早起きなんですね。昨日遅かったのに」
「抱っこして二度寝っていうのもいいかなと思ったんだけど、あまりに可愛すぎて目が覚めちゃった」
そう言いながら足元にいたクルムを抱き上げて頬ずりをしてるAちゃんを見ながら、幸せな将来像を想像(いや、妄想)して口元が緩んだ。
「あ、口のここ、ついてる」
「ん?どこ?」
緩んだ口元に食べかすがついていることを指摘されたけど、どこについてるのか分からないうちにクルムが膝に乗ってきてペロリと舐めた。
「あ、クルムずるいー。私も」
そう言うとわざと口の横にパンくずをつけるAちゃんだけど、もう満足したのか水を飲みに行ってしまったクルム。
「残念。俺がとってあげます。」
うんと腕をテーブルの反対側に伸ばしてとると、自分の口に運んだ。
「わ、え、食べた」
近づいてきた俺に目を丸くして、そのまま赤くなるAちゃん。
それを見て俺も、なんて大胆な事をしてしまったんだと耳まで熱くなって2人してうつむいてしまった。
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作者名:ゆちぇ | 作成日時:2019年11月20日 5時