あなたと彼の短編集 (ページ2)

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不器用な看病 1 KH ページ2

「ゴホッ、ゴホッ……っ？！」

「あ、おはよ。どう？」

「どう？って…え、なんでいるの？」

昨日の昼間からやばいなーとは思ってたけど、夜になると徐々に上がってきた体温。

今日は遅くなる、というから来なくていい、むしろ来るなと言って寝たはずなのに…

咳で目が覚めると、私の手を握ってベッドに伏せて寝ている彼がいた。

「なんでって…電話で咳してたし、心配だったから」

「大したことないし、うつるから帰ってよ」

「そんな言い方しなくてもいいじゃん、俺だって…心配、するんだよ」

照れながら言われたら、こっちまで照れるよ、もう。

「なんか飲む？あと、おデコ冷やすやつも買ってきた。ほら、熱も測って」

「や、どこ触ってんの、自分でするからっ！」

「…ちっ」

どさくさに紛れて人のパジャマのボタンを外し始める変態の手を制し、自分で体温計を挟む。

「はい、スポーツドリンク。薬は？飲んだ？」

「まだ。寝てたら治るかと思って。」

「治るか、バカ。
もーー、お前もうちょっと自分の体を大事にしろよ、ほんと。」

「うん、ごめん…」

「ちょっと待ってて。俺、お粥作ってくるから」

「うん、って、え？作れんの？」

「リョウクに教わってきたし、お粥くらいなんとかなんだろ」

うわ、猛烈に不安…
だけど38.4度と表示された体温計の液晶を見たら余計しんどくなってきた気がして、再び横になるとすぐに瞼が降りてきた。