クローリー好きで悪いか。 ２

16：・・・注射しますよ？【真人依様リクエスト ※医者パロ】 ページ7

「クローリー先生っ、クローリー先生っ。」

「今仕事中です。」

「クローリー先生ってば！」
バインダーを胸に、Aは白衣を纏った彼の背後から声を掛ける。クローリーは鬱陶しそうに、はいはい、と返事をする。
「・・・何ですか。」

「敬語じゃなくても良いと言いましたのに・・・。」

「仕事中ですから。」

「もー・・・、じゃなくて！・・・いつ私にお注射してくれるんですか！？」
紙の上に走らせていたボールペンから、ミシッと音がする。眼鏡をかけ直し、クローリーは咳ばらいをした。

「・・・下ネタですか。」

「下ネタ意外にお注射って言いますか！？」

「言いますよ。」
「そうですけど・・・！クローリーさんのお注射、いつになったら私は受けられるんですか！？」
「止めなさい。はしたない。」
「言葉責めじゃあ・・・焦らしも同然ですよ！！私は先生に手酷く抱かれたい！！」

はぁはぁと顔を赤らめ、Aは拳を握る。

「・・・病院ですよ、ここ。勤務中ですよ、今。と言うか、モロに言わないで下さい。世間体がどうなっても良いんですか。そもそも僕らは恋人じゃないでしょう。」

椅子を軋ませ、クローリーは溜息を吐く。足を組んで患者のカルテを眺めながら、Aへ言った。

「今告白してます。」
「今じゃなくて毎日の間違いです。」
「毎日ですけど・・・！私、それぐらい先生の事が・・・！」

そこまで言って、彼は「患者さんが来るから」と切り上げてしまった。Aは不燃焼のまま、看護師としての執務を務める。内心、不機嫌だ。

　大好きなのに・・・

頬を膨らませても、彼の心はキュンとしない。まぁ、彼の容姿なら女の方は選り取り見取りだったのだろう。だから、色々な方法で言い寄られ、色々な仕草を見て来たのだろう。免疫、とまでは行かないが、その程度ではときめかんよ、みたいなことになっているのだろう。

だが、Aにとっては、診察の時の彼が一番好きだ。仕事をしている男性はカッコいいと言うが、正しくそれだ。老若男女問わず、誠心誠意、職務をこなし、柔和な笑顔と柔らかな物言いで、患者を安心させてくれる。しかも、手術の腕もいい外科医と来た。
ここ、中央病院で評判の医師だ。

そんな事を思いつつ、今日もAの一日は終わりを告げる。


いつものように彼を待つ。


　今日は一緒に帰ってくれるかな。


「・・・今日は夜勤じゃないんですか？」

「ほっふぁあ！？」

「・・・ぇ。」

「あっ、すみませぬ・・・あはは。」

　　　　〃　　　　→←　　　〃　　　【被虐願望系女子(要はドＭ）。Ver.】

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