〃 【視えるんです。Ver.】 ページ4
「今日って・・・」
クローリーの執務室にて、読書をしていた剣、が顔を上げ呟いた。
「ん？５日だね。」
「あ、じゃあ、・・・お誕生日ですね！」
珍しく声を上げた剣、に、クローリーは少し目を丸くする。
「君の？おめでとう。」
「違いますって・・・！クローリーさんの誕生日ですよ、この前、ご自身で仰っていたじゃないですか。おめでとうございます。」
「ぁ、そうだっけ。」
はは、と頬を掻く。だが剣、の表情は曇った。
「えぇ。あ・・・でも、すみません。」
「？」
どうして謝られるのだろう、なんて考えていれば。
「プレゼント・・・用意できなくて、」
「あぁ、いいよ。別に。」
物欲なんて吸血鬼にないのだから、そんなことで困らなくても良いのに。クローリーが断りを入れても、彼女の表情は晴れぬばかり。
「でも、」
見兼ねたクローリーは溜息を吐いて、人差し指を立てた。
「よし、じゃあ、こうしよう。」
「ぇ、」
椅子から立ち上がり、彼女の座るソファへ腰を下ろした。剣、の顔を覗き込む様にして、笑う。
「今日１日、僕と一緒にいてよ。」
「そんなことで、良いんですか？」
「そんなことって？」
「・・・ぁ、いえ、プレゼントって物とかだと思ってて・・・」
彼女の言葉に、クローリーは小さく吹き出す。
「子供だなぁ。」
「・・・仕方ないでしょう。」
少し不機嫌そうな声が聞こえて、ごめんごめんと頭を撫ぜる。
「僕にとってはそれだけで充分だよ。もちろん君から物を貰えると嬉しいかもだけど、こっちも嬉しい。」
「そう、ですか・・・」
「うん。」
満足気に笑う彼に、剣、は少し頬を染める。再び本の文章へ目を落とし、集中しようとするが、隣で鼻歌を歌っている彼がいつもと違った様で。
かわいいかも・・・
なんて思ってしまう。視たくないものが視えずに済む、彼のいる空間はどうも安心してしまって、そんな呑気な事を考えてしまうのだ。
「・・・剣、の誕生日には、君の欲しいものを言ってよ。物によっては手に入るかもしれない。食べ物でも、洋服でも、アクセサリーでも。何だったら本でも良い。」
指を折々、思い付くものを上げていくクローリーに、剣、は少し考える。欲しい物、欲しい物、と言葉を反芻し。
「・・・クローリーさんと居れれば、それで良いです。」
ポツリと呟く。
「そんなことで良いの？」
してやったりと言う表情で笑う彼に、
「あっ。」
と剣、は声を上げた。
12.5.Mon.
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剣、(プロフ) - ありがとうございます・・・ (2017年9月4日 23時) (
レス) id: 84eda379fa (このIDを非表示/違反報告)
アカネ*(プロフ) - はい！！ぜひ頑張ってください！剣さんの作品これからたくさん見ますんで！ (2017年9月4日 18時) (レス) id: b55415a21a (このIDを非表示/違反報告)
剣、(プロフ) - アカネ様、ありがとうございます！！いいなぁ、クローリーさんと同じ誕生日！羨ましい限りです。亀更新ですが、頑張ります！！ (2017年9月4日 2時) (レス) id: c140100b62 (このIDを非表示/違反報告)
アカネ*(プロフ) - (｀･ω･´)ふぉおぉおお私と同じ誕生日のクローリーいいいい((すてき。カッコイイ。これからも頑張って下さい！！！ (2017年9月2日 16時) (レス) id: b55415a21a (このIDを非表示/違反報告)
剣、(プロフ) - え、私の名前になってる！？ま、マジですか・・・。修正、しておきますね。それと、こんなものでよければ！！よろこんでいただき幸いです！ (2017年3月29日 22時) (レス) id: 08a0f3295f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣、 | 作成日時：2016年11月25日 18時
