〃 ページ25
肌から、彼女の心臓の音が聞こえる。
それが小さくなっていくことを、生々しくこの身体は伝える。
泣き叫ぶことさえ、涙することさえ出ない。
この身体。
か細く、クローリーは呟く。
「・・・いなくなるな・・・。死なない様なカオしてたくせに、何だよ、クソ。」
身動きがほとんどできないクローリーの腕の中で、Aは彼の服を引っ張る。
それに気づき、力を弱めれば、
「さいごのお願いです〜・・・」
物語の人物が死ぬ間際の、常套句の様に、言った。
最期なんて認めない、と心の内で思うも、焦った声でなんだい、と返す。
「お兄さんの、お名前。まだ聞いてないです。」
そう言えば、彼女はずっと自分の事を「お兄さん」と言っていた。
胸の内に急速に込み上げて来たものを押し込め、しっかりした声でクローリーは言う。
「クローリー。クローリーだ。クローリー、ユースフォード。」
そう答えれば、嬉しそうに彼女は笑った。
やっと知れた、と聞こえない程の小さな声で、独り言を言う様に呟き。
「でも、難しい発音ですね。」
くろーりーさん。
―――――――
うん、死んじゃったんだ。
彼女のことは綺麗にして、寝かせた。
そう、土の中。埋葬したんだよね。
僕も、日本から出るまで時間があってね。彼女の家に居た。猫と一緒に。
でも、その猫も、後を追うように死んじゃった。
すごく、静かだったよ。森が。それに、なんとも言えない損失感もあってさ。
・・・意地悪だね、君も。
分かったよ、白状する。
泣いたよ。
あれ、吸血鬼でも泣けるのかって思ったよね。はは。
うぅん、そうだなぁ・・・今思えば、・・・うん。
好きだったんだろうなぁ。
一緒にいて楽しかったしね。いやいや、ちゃんとラブの方だよ？
あぁ、話逸れてた。戻そうか。
忘れてしまうんだろうね、吸血鬼の生は永いから。
悲しいかな、フェリドくんが彼女を殺したと知った時にはもう、殺意は消えてた。
悲しくて虚しいよ。
僕はもう泣けないだろうなぁ。
・・・うん。楽しかったよ、彼女との時間。
本当に、楽しかった。本当に。
残された者が哀しいってよく言うけどね。その通りだよ。
Aはね。
綺麗な黒髪をしてたんだ。
それで、僕に色を加えたいとか言ってさ。
うん、そう、朱殷。
僕の髪は、赤と黒。
僕の髪は、朱殷と黒。
Aとの思い出を冥途土産にね。
・・・狂ってる？
いやいや。吸血鬼にしなかっただけ、褒めてよ。
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剣、(プロフ) - ありがとうございます・・・ (2017年9月4日 23時) (
レス) id: 84eda379fa (このIDを非表示/違反報告)
アカネ*(プロフ) - はい！！ぜひ頑張ってください！剣さんの作品これからたくさん見ますんで！ (2017年9月4日 18時) (レス) id: b55415a21a (このIDを非表示/違反報告)
剣、(プロフ) - アカネ様、ありがとうございます！！いいなぁ、クローリーさんと同じ誕生日！羨ましい限りです。亀更新ですが、頑張ります！！ (2017年9月4日 2時) (レス) id: c140100b62 (このIDを非表示/違反報告)
アカネ*(プロフ) - (｀･ω･´)ふぉおぉおお私と同じ誕生日のクローリーいいいい((すてき。カッコイイ。これからも頑張って下さい！！！ (2017年9月2日 16時) (レス) id: b55415a21a (このIDを非表示/違反報告)
剣、(プロフ) - え、私の名前になってる！？ま、マジですか・・・。修正、しておきますね。それと、こんなものでよければ！！よろこんでいただき幸いです！ (2017年3月29日 22時) (レス) id: 08a0f3295f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣、 | 作成日時：2016年11月25日 18時
