溶け残った深い藍【FGO】【クー・フーリン・オルタ】 (ページ6)

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17-0…異変(ロマニside) ページ6

スィムと立香達が相対している間、

ロマニは立香がレイシフトをしている時の様に

サイのバイタルチェックをしていました。

立香達は実体ごとサイの中に飲み込まれたので、

無事を願うことしか出来ません。

いくつかの機械を駆使しながら、彼らの帰還を待つことしかできませんでした。

気づけば、

立香達が飲み込まれてから、

もう30分ほど経っていました。

「A…か。

どんな子なんだろう。」

機械に表示された項目に目を通しつつ、

未だ戻らない立香達を心配しつつ、

ロマニはそんなことを考えていました。

サイは心が無くとも無意識の優しさが滲み出ている子でした。

なら、Aという子は？

サイのオリジナルなら、きっといい子なんだろう。

きっと、よく笑って、万人に優しいような、

そんな子なんだろうな、と

漠然と思っていました。

それから、もう何十分が経つと

サイの身体から、

“パキッ…”

と、無機質な音が聞こえました。

「え？な…⁉」

急いで背後を振り向いたロマニは、驚きを隠せませんでした。

寝具の上に寝かされた彼女の胸元には、

とても大きなヒビが入っていたからです。

ロマニが言葉を発する間も無く、

サイであった人形の身体は、

節々が球体になり、

髪は人工的な輝きを持ち、

不意に重みが消えて持ち上がった瞼からは、

硝子玉で作られた空っぽの瞳が覗くようになりました。

「これは、一体…。」

唖然とするロマニを、事態は待ってくれません。

胸元の亀裂はやがて円を描き、

その部分は陥没しました。

その奥には、

言葉では表せないような深く、暗い闇がありました。

何故こんなものが？何故急にこんな事態に？

Aは、どうなるんだ？

そんな疑問が、ロマニの中で巡り続けました。

そうしているうちに、

人形の胸にポッカリと空いた闇が不意に渦巻き、

その渦中から青緑の炎と、

それに追随するように、

飲み込まれた5人が放り出されてきました。