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#9-3…帰還の時来たれり(立香side) ページ45

俺たちは消えたオルタの代わりに暗闇の中でAさんの身体を守っていた。

ここを作るのに使ったと思われる聖杯は、
オルタを呑んだ光が引いた時にぽつんと転がっていた。

重い空気はラブレスと共に全て消え、ただ静かな空間が広がっている。
夢も見ない様な深い眠りのときはこんな場所に意識を置いているのだろうか。

そんなことを考えた時。

ふと目線をあげるとそこには見慣れたドアがぽつんと立っていた。

「先輩…これは…?」

側に居たマシュが困惑して声をかけて来たけれど、
俺にも分からないから首だけを振った。

このドアの向こうからはとても澄んだ空気が流れてくる。
でも、開けようとしたけれどビクともしなかった。

外からの干渉は不可能ということか。
恐らくこの向こうにはAさんとオルタが居るんだろう。

ひたすら待った。俺たちに出来ることはそれだけだった。




ウィィン……。

どれだけ待っただろう。
静かな駆動音と共にドアがすっと横に滑り、
美しい花畑を後ろに、眠るAさんを抱き上げたオルタが出てきた。

完全に尾までオルタが不思議な場所から出た時、
ドアはぐにゃりと歪み、花畑と共に消えてしまった。
もう、悔いはないということだろう。

同時に、オルタが抱いていたAさんは優しく輝くと藍色の焰に変異した。
全く違和感が無かったけれど、オルタが迎えにいったのは精神であって、
もう集まっている身体と魂に融合されてなきゃおかしかった。


ゆらりと揺れた焰は、Aさんの身体に静かに沈んでいった。

すると、一度大きく撥ねたAさんの身体からかすかな呼吸音が聞こえてきた。
無事に統合出来たらしい。


「もうここも崩れる。
早く俺たちのカルデアに帰るぞ。」


Aさんの身体を丁寧に持ち上げたオルタが、
俺に声をかけた。


そうだ、ドクターに連絡しないと!


急いで信号を送ると


《ピピッ……ザ…

あ、繋がった⁈大丈夫かい立香君、マシュ、クー・フーリン・オルタ‼
もっと沢山連絡して欲しかった!
こっちは存在証明出来ていても確認が出来なくて気が気じゃなかったんだからね⁈
とにかくだ、その特異点は修正が始まってるのに君達がこちらに転移しない!
今こっちで急いで繋いで…出来たみたいだ‼
直ぐに帰還が始まるから、そのままそこに居てくれ!
Aさんを受け入れる準備も出来た!
話は全部帰還してからだ‼》


ロマニが言い終わるのとほぼ同時に、
俺たちの体は金の粒子に包まれた。

#10-1…守護の誓約(オルタside)→←#9-2…虹は雨の花と言う



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アルっさん(プロフ) - 皐摩さん» ありがとうございます!ちゃんと“皆が幸せに思う”終わりを目指していくので、今後ともよろしくお願いします(*´-`) (2019年4月18日 7時) (レス) id: 627f8f5340 (このIDを非表示/違反報告)
皐摩(プロフ) - めちゃくちゃ楽しみながら読ませて頂きました!!更新楽しみにしてます!! (2019年4月17日 23時) (レス) id: 8434b91720 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジジュース(プロフ) - アルっさんさん» 見ました!ものすごいことに…! (2019年2月20日 18時) (レス) id: ea02e12f92 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジジュース(プロフ) - アルっさんさん» お互いに頑張って行きましょう! (2019年2月7日 20時) (レス) id: ea02e12f92 (このIDを非表示/違反報告)
アルっさん(プロフ) - オレンジジュースさん» ありがとうございます(*´-`)これからも頑張りますね! (2019年2月7日 19時) (レス) id: 7837a26b84 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アルっさん x他1人 | 作成日時:2019年2月7日 18時

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