溶け残った深い藍【FGO】【クー・フーリン・オルタ】 (ページ36)

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#7-2…先を見るためにページ36

暗い空間に、重い空気が流れていく。
分かりきっていた。
かの人達は、この世界にはもう居ないと定義されているから。

此方には来られないのだと。

「良いんじゃねえか、お前たちがそれで良いと言うのであれば。」

一閃。

今まで聴いているだけだったオルタが、
その言葉で沈黙を切り捨てた。

そう、これだって分かっているのだ。
2人が幸せで、Aさんの事を救えるのであれば、
それは本当に彼らにとっての大団円で、
私たちにも迷惑のかからないことで、
私たちの世界にとっての良いことなんだと。

「お二人は、それで良いんですか？
Aさんに、会わなくていいんですか？」

分かっていても、引き下がりたくない。
素敵な出会いだった。
今までのどんな出会いより、ずっと。

「ああ、良いんだよ。
きっと僕たちが彼女の目に映って仕舞えば、
彼女は本当に進めなくなるだろう。
今の彼女はね、感情を剥き出しにしている状態なんだ。
幾ら削り落としても、
芯である本心は削りようがない。
ただ逢いたいと、それだけなんだよ、彼女は。
嬉しいことに、その対象には僕たちも含まれている。
そんな時に会って仕舞えば、どうなると思う？」

不意に投げかけられた言葉。
相変わらず優しい笑顔は、答えを促すようで。

「……ここから、永遠に出られなくなる？」

先輩が、恐る恐る答えた。

『大正解だ。
逢ったなら、そのまま側に居たいと思うのが、
私たち人の強欲だ。
始まりから終わりまで、永遠に治らない。
だから会えない。』

ポツリと落ちた言葉。
悲しそうな笑顔は、どうにも胸が痛くて。

「……お二人がそれで良いのなら。
私たちが先に進むには、
未来を歩んでいくためには、
それが、1番なんですよね？」

「うん。」『ええ。』

認めるしか、ないのだと。
理解ってしまったのであれば。

進む為に、私は出来ることをしなくては。

「マシュ・キリエライト、
いつでも出撃可能です！」

ミーシャさん達は微笑んだ。
それで良いと、言外に伝えてくれた。

「なかなか良い女じゃねえか、嬢ちゃん。」

やっぱり先程からバーサーカーらしさが無くなってしまったオルタさんが、
涙を拭う私の頭を撫でてくれた。