溶け残った深い藍【FGO】【クー・フーリン・オルタ】 (ページ35)

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#7-1…作戦会議(マシュside) ページ35

私は小走りでミーシャさんに近づき、耳の辺りに手をあて、
理由を伝えた。
まだ先輩に秘密にしていることも、一緒に。

「私たちもAさんを救う為にここに来たんです。
オルタさんの為だけじゃなくて、ただ、
先輩はAさんと話してみたくて、
私は愛の為にこんなに大掛かりな舞台まで作れる彼女に会ってみたかっただけなんです。
私も先輩が好きで、でも、まだ愛が何なのかよく分からないから、聞いてみたいんです。
きちんと分かってから伝えなきゃ、先輩にも私の心にも失礼だと思うから。」

最後まで伝えた私の顔は、少しだけ赤くなっていると思う。
でも、私欲の混ざった動機でもミーシャさんは認めてくれた。

藤色の目を細めて

『良いんじゃないの？とっても素敵よ、それ。』

それだけでも私は嬉しくて、
私はますます先輩の方を向けないくらい赤くなってしまった。

「あ、ありがとうございます！
あの、作戦などはあるんでしょうか！」

照れ隠しで少し大きな声を出してしまったので、
先輩はきっと後ろで驚いているんだろうな、
と思いつつ。
私は今一番重要なことを聞いた。

「ああ、もちろん。
ここからは僕が説明してもいいかい？
えっと、僕のことは分かるね？
こちらのドクター、イマニだ。
よろしく頼む。」

ここで初めて、向こうのドクターの名前が分かった。
ドクターロマニよりも少し逞しく、髪の色が薄いミントの色をしていて、
でも、目元はそのままドクターロマニの物に見えた。

きっと名前の由来は、イマジンなんだろう。
架空の、空想の、素敵な夢を観たかったんだろう。
そして、きっと観られたのだ。だからここにいてくれているんだろう。

優しい口調で彼から作戦が伝えられる。

それは、どうしようもなく完璧で。
それでも、どうしようもなく救われないものだった。

「………2人は、それで良いの？」

先輩が震える声で尋ねる。
先輩は優しいから、大団円を望んでいる。望んでしまう。
私たちの旅の終わりの様に。
暖かくて幸せな終わりがあると信じて。

でも。

「ああ、これでいいんだ。
寧ろこれは僕たちが望んだ結末なんだよ？」

優しく、少し困ったようにドクターイマニが答えた。
認めて欲しいと言葉の裏に滲ませて。

『そう。これが1番私達には幸せな終わり方なんだ。』

柔らかく、少し悲しそうにミーシャさんが肯定した。
出番の終わりを見据えた様に。