溶け残った深い藍【FGO】【クー・フーリン・オルタ】 (ページ30)

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#5-2…自衛の末路ページ30

ペロリ、と自らの手から滴り落ちる血を舐めて、
彼女は面白くなさそうに告げる。

「オリジナルなら、記憶の海に身を浸し、
醒めない眠りを揺蕩っているわ？
あの子、自分の心を削って残像に擦り込んで、
そんな無茶な方法でここまでの道案内を創り出してたのよ？
そりゃあもう怖かったし疲れたでしょうね。
最後まで彼女の中にいたワタシには分かるわ。
想い出も、何もかも、眺めたって、
喜びも、悲しみも、何にも浮かんでこないんだもの。
そんな彼女はよく眠るようになった。
異常な自分の状態から目をそらす為に。
そしたら、ワタシが好き勝手してたの。
完全に用が済んだら、
あの子は意識の根底に突き落としてあげたけどね。
ああそれと、ルズをつくったのはワタシ。
貴方達の邪魔をする為よ？
ま、やっぱりいい加減に作ったからあんまり意味は無かったけどね…。」

着実に歪んでいく俺たちの顔も見ず、
いつのまにか恍惚とした表情になっていたソレはベラベラと際限なく言葉を吐いていく。

「そうそう、喋り過ぎちゃったからもうついでに教えてあげる。

ワタシはネームレス・ラブレス。

象徴するのは深愛！
役割は過剰、嫉妬、狂気、不安……ま、諸々の負の感情よ。
あの子の感情の削り滓を掻き集めて出来た裏側の自分！

ワタシだって、あの子なのよ？
でも、今までの残像供とは訳が違う‼
ワタシは自分の身体を持ってるの‼

どうせ貴方はワタシを殺そうとするのでしょう？
その心臓を抉る槍で。
やれるならやってみなさい？
ワタシ、この子ごと死んじゃうよ？

時々逢わせてあげるから、ワタシごとあの子を愛してよ。
永遠に逢えないよりは良いでしょう？
そっちのマスター殺して、ミーシャのカケラも殺して、
ずっとここにいましょうよ‼

幸せはココにあるわ！
何もかも都合良く！
ワタシたち2人で永遠に幸福を領受しましょう‼」

もう役割も、象徴も、それを除いたアレの根本も、何もかもが出鱈目にただ愛を求めていた。