溶け残った深い藍【FGO】【クー・フーリン・オルタ】 (ページ27)

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#4-1…腐心の黒雨ページ27

不意に隣に現れたパートナーに驚いた2人は、

直ぐに近くにオルタがいないことに気がつきました。

しかし、不安になりながらも前に進むと、

直ぐに彼は見つかりました。

遅え。と、短く声をかけたオルタに

「オルタは何か見なかったの？」

と問い、

立香は自分が見たことを話し、

マシュも別な物を見たことを話しました。

しかし、

「俺は何も見てねえ。」

と短く切り返して、オルタは先に進み始めてしまいました。

深淵の主人との深い繋がりと強い想いは、

オルタに忍び寄る闇をオルタも知らぬ間に切り裂いていたのです。

そんなことは知らず、3人は深淵のその淵へ進んで行きます。

歩いている間にも流れる闇は3人を覆い隠そうとしましたが、

強い意志を固めた3人には全く意味がありませんでした。

オルタが深淵に来る前に立香から引ったくったカンテラも、

闇を祓って先を照らしています。

ぽつり、ぽつ。

「………え？」

何か、雨のようなものが、降ってきたようで、

「う………ぁ…」

ドサ……

「⁉せ、先輩‼」

黒いシミを礼装と肌に刻んだ立香は、急に倒れてしまいました。

「なんか、これ、力抜ける……。」

意識は残っていたようで、苦しげに立香は呟きました。

それを見たオルタは、

「チ、呪物の類か…。」

と、忌々しげに呟くと、

自身のマントで立香を包んで降り注ぐ黒い霧雨から守ると、

担いで先に進み始めました。

「おい、嬢ちゃん。ちぃと飛ばすぞ。」

「は、はい！あの、これは何なんですか？何故先輩だけに影響が⁉」

走りながらマシュは問いました。

「これは呪物だ。

生きる者の活動を阻害することに特化したな。

俺は一度死んでここに居て、

嬢ちゃんも半分死んだ者だ。

故に効力は無い。

でも半分生きてんだ。

辛くなったら休め、後からついて来い。」

珍しく人を気遣いましたが、

オルタは1人でも先を行く気のようです。

しかし、この先のことを見届けなければならないと、

マシュも頑張ってついて行きました。

効力は無くとも視界を塞ぐ黒雨を振り払い、

走り続けて、

今、彼らの目の前には大きな寝台がありました。