溶け残った深い藍【FGO】【クー・フーリン・オルタ】 (ページ26)

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#3-6…蕾は落ちるページ26

詳しく聞けば、

同じく並行世界の可能性であるこちらのドクターと接触している私をここに連れて来れば、
因果に少しの異常が起きて彼が目覚めるのではないか、と
少しの期待をかけての行動だったらしい。

『でも、駄目だったみたいだ。
こんなとこに連れてきてすまなかったね。

でも、君を連れのところに送り届ける前に、
もう一つ伝えなきゃいけないことがある。

今の私の先輩は、違うモノだ。
伝わってくる魔力の波動で分かる。
恐らく、心身ともに疲れたところを負の感情に呑まれたんだろう。
あの人は繊細だから。

とんでもない魔力を持っている上に、
それを用いて戦う術を知っている。

きっととても厄介な戦いになるよ。
今、オルタもここにいるんだろう？
彼に躊躇うなと、それだけ。
彼に限ってそれはあり得ないけど、一応ね。

ここでは死んでも死なない。
一度殺して寄生したモノを引っぺがすのが一番効率がいい。
大丈夫、呼びかければ戻るさ。
ここは御都合の吹き溜まりだからね。』

「貴女はここを出ないんですか？」

『う～ん…、まぁ、出られるなら出たいさ。
私だって先輩の暴走を止めたい。
でも、私もここに集まった都合の１つだ。
幕を出れば、きっと世界の裏側に戻ってしまう。

だから、悔しいけど君たちに任せる。
でも、この世界は不安定だから、
君達が戦闘をしているうちに魔力が変調を起こして法則も変わるかもしれない。
そしたら出られるようになるだろうから、私も君達に力を貸そう。
ドクターも連れ出す。
ありもしないものが不安定なこの場所で動くのはだいぶ危険だし、
この身に何が起こるかも分からないけれど、
もう覚悟なんて彼女についていくと決めた時に全部決まってるんだよね。

ね、ここに君を入らせてしまったのは私だから、
責任取って君の先輩の元に送り届けよう。』

それくらいならここを出なくてもできるから、と
彼女はヒョイと私を翼の前に尻尾で器用に移動させた。

嫌な予感がする。

まるで、これは、第六特異点の……

『飛ばすから気をしっかり持って口閉じときなぁっ‼』

予想していた通り、私は彼女の翼から生まれた風圧によって幕の外に放り出された。

彼女の魔力が混ざった突風は、
私に纏わり付こうとする闇をいとも簡単に引き裂き、

そして、
気がつくと足元ははっきりしていて、
相変わらず暗いのに
隣には先輩が私としっかり手を繋いで立っていた。

一瞬見えた帳の内側には、
優しく微笑む男性の姿があった。