溶け残った深い藍【FGO】【クー・フーリン・オルタ】 (ページ23)

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#3-3…眠り姫の悪戯ページ23

「……Aさん？」

今まで出せなかった声が不意に出せるようになって、
弾かれる様に彼女の名を呼んだ。

「そうだよ。今まですごく迷惑かけたよね。ごめんなさい。」

とても優しい笑顔で、Aさんは優しく告げた。

「そんなことないよ。俺があなたに会いたいと思って「嘘は要らないよ？」…え？」

優しい笑顔で、Aさんは俺の言葉を遮った。

「だって、会ったこともないような人に、普通会いたいと思う？
オルタに言われて仕方なく、じゃないの？
だって、君はマシュちゃんと一緒に居れればいいんじゃない？」

優しい笑顔で、彼女は続けた。

「他人の恋人にどうして興味を抱くの？
オルタは私のものよ？
君は関係ないじゃない。
迷惑よ、それ。
いつだって君はそう。
どこに行ったって、
関係ないことに首を突っ込んで、引っ掻き回して
解決しようとして、出来ない。」

優しく、優しく、彼女は続けて毒を吐く。
今までの道は全部無駄だったとでも言いたげに、
優しく、優しく、美しい笑顔で、彼女は心を手折ろうとしてきた。

「ねえ、君は今まで人理の修復はしてきたけれど、
人の正しい助け方を知ってるの？」

「放っておいてもらえるのが、正直言って一番楽なのよね…。」

彼女は優しく、トドメを刺しにきた。

けれど、

「俺は、いつだって俺が一番やりたいと思うことをしてる。
人理の修復だって、人助けだってそうだ。
間違ってたなら謝って、合ってたなら喜んできた。
もしこの方法が誤りだとしても、
全部終わってから本当のあなたに全力で謝るよ！」

俺はそんなことじゃ折れない。
今までいろんな人に会って、
否定されて、時には馬鹿にされたりもしたけれど、
一回だってそんなことで止まったことはなかった。

なら今回だってそうだ。
本物のAさんに会うまでは、絶対に諦めてなるものか‼

そう誓うと、
急に彼女がふらついた。

「……ちっ。
意外と強いのね、アンタ。
しょうがないから今回は見逃すわ。
でも、ここの最深部にきたら、
深淵のその更に奥に永遠に閉じ込めてあげる…！」

彼女はそう吐き捨てると、
フッと闇に紛れて消えていった。

気がつくと足元ははっきりしていて、
相変わらず暗いのに
隣にはマシュが俺としっかり手を繋いで立っていた。