溶け残った深い藍【FGO】【クー・フーリン・オルタ】 (ページ3)

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16-1…猜疑ページ3

「どうして…そう思ったの？」

Aの姿をした彼女が、そう問いました。

何故疑うの、やっと逢えたのに、

そんな声が立香の耳にも入ってきます。

でも、その声は、

彼女と向き合うオルタを試しているようにも聞こえました。

それに気付いているかはわかりませんが、

オルタは淡々と彼女の正体を暴きにかかります。

「Aは、

そんな泣き方をしない。

あいつはもっと静かに啜り泣く。

それにアイツは俺を俺としっかりと把握している。

前に新宿の暗殺者やら探偵やらが俺に化けて揶揄いに行ったが、

すぐにバレて張り合いがないといっていた。

それなら一々俺かと聞くこともないはずだ。

それと、

あいつの瞳に緑は混ざってねえ。」

その言葉を聞き終わった青緑色の瞳をした彼女は、

安心したように泣き笑いを浮かべました。

「……大正解。

騙してごめんね。

私じゃなくて、ごめん。

オリジナルにとっての愛する人が、

オリジナルを愛するのに値する人なのか、

私は知りたかった。

ニアの犠牲が無駄じゃなかったって、

知りたかったの。

ニアが居なくなった後は、

私が外側に出る予定だったのよ？」

ああ、そっちじゃニアはサイって呼ばれてたんだっけ。

なんて言葉を付け足して、

彼女はオルタの肩をそっと押して突き放しました。

「そうか。

あの人形は俺を試すために送られてきたんだな。

あれには見覚えがあった。

自分の師匠だっつってた人形師に初めて褒められたものだと、

俺によく自慢げに見せてきたもんだ。

妙にリアルで、気味が悪かった。」

「そう。

ねえ、オリジナルに逢いたい？」

唐突にそう、彼女が質問しました。

「あ？当たり前だ。」

「どうしても？何をしても？」

「当たり前だと言っている。

教えろ、Aは何処にいるんだ。」

至極当然のことを聞かれたせいで、

オルタは少し苛立ちを見せました。

それをみた彼女は、

悪戯を思いついた稚児のような笑みを浮かべて、

こう言い放ちました。

「そんなに知りたいならさ、

私を殺して？」

それは、その場を凍りつかせるのには

充分過ぎる言葉でした。