足りない私。認める貴方。【テニプリ】【忍足侑士】 (ページ11)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:1,669 hit

第9話ページ11

私は、頭が良くありません。推薦だって学力面はギリギリだったのです。
文武両道でなければいけない学校で私の頭は致命的な水準。

早く起きて学校に向かって先生に質問をしなければいけないから
寝足りなくてハッキリしない頭を無理に覚醒させて朝の仕事を終え、
学校に向かいました。

「ん？八重薙じゃねえか。早いんだな。」

「あ、おはよう御座います。宍戸先輩。朝練この時間なんですね。」

「おう。」

少し先を歩いていた先輩が、車輪の音に気付いてか後ろを向きました。

「見てくか？」

「ありがとうございます。
でも私頭が良くなくて、推薦維持の為にも先生に質問しに行かないといけないんです。
じゃないと退学になっちゃうので…。ごめんなさい。」

「大変だな……頑張れよ。」

「はい。」

見たいのは山々だけれど、その余裕ができるくらいにならないと時間が割けないのです。今までにないくらい自分の頭の悪さを呪いました。
でも、応援してくれたので頑張ります。

それからも他愛のない話をしていたら、学校に着きました。

「んじゃ、頑張れよ。」

「はい、先輩も頑張ってください。」

短く告げて私は校舎に向かいました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「忍足、お前の言ってた後輩に会ったぜ。」

「ほんまに？なんか言うとった？」

アップしていた忍足に声をかければ光の速さで食いついてきた。怖え。
周りからの視線も痛い位に刺さってくる。

「褒めてもらえて嬉しかったってよ。」

「そうか。…そうか。もっと褒めたろう。」

口元に持っていった手ではカバーできないほどニヨニヨと笑いながら企むのがキモかったのできめぇというと泣き真似された。きめえ。

「ああそうだ。褒めまくってキャパオーバーすると赤くなって耳たぶいじるんだぜ？
可愛いからやってみろ。あ、俺の言う可愛い、弄りがいがあるっつう意味だかんな？」

「正直納得でけへんけれど情報提供おおきにな。…待て。何処であったん？」

「あ？帰り道。大通りの不法駐輪にワタワタしてたから助けてやった。」

「なんやって⁉帰り道同じ方向なんか…羨ましいわ。
せやけど、おおきにな。あの子に困り顔させたない。」

「は、大分惚れ込んでんのな。脈、あると思うぜ。応援してやる。」

「っ…！宍戸、ええやつやったんやな…！」

「お前の中の俺がどんな奴だったのかは心底気になるが練習始まるぞ。」

教えなきゃ良かった。