48：吸血鬼の話。 ページ49
「・・・そう言えばね、花の記憶がある。僕の夢の中で。」
棚から数冊、本を手に取ったAにクローリーは話しかける。
「・・・そのお花でも、食べたのでしょう・・・」
クスクス笑ってAが言うと、クローリーも小さく吹き出しながら、
「花を食べる？罪深いね。綺麗な花を食べるなんて。」
と紙へペンを走らせた。こんなの、とクローリーは簡素な花の絵を彼女に見せた。
「『ｎａｖｙｂｌｕｅ』・・・」
４枚の花弁から『ｎａｖｙｂｌｕｅ』と書かれたメモが伸びている。
「濃紺、だよ。・・・綺麗な花だった。とても、綺麗だった。」
懐かしむ様に、愛おしそうに彼は呟く。そして、花を描いた紙をぐしゃぐしゃに丸めて捨てた。
「・・・・・差支えなければ、聞いて欲しいな。」
ソファへ腰掛けたAは、視線を落とす彼を見る。クローリーは手を組み直して、微笑んだ。
「自己満足だし、話すのは下手だから、長くなるよ。遠慮して良いから。」
「・・・いいですよ。お話して頂いて。・・・話を聞くのは好きです。」
Aも微笑み、クローリーを見る。
「長くとも、下手でも、何でも。・・・貴方のお好きなように。」
「そっか・・・。じゃあ、ごめんね。付き合ってくれ。」
クローリーは話し始めた。
吸血鬼の話。
-----------------------------------------
「今日も暇だ。」
「そうだねぇ〜、太陽が昇って、月が昇って。」
「何にもない日。」
人間と吸血鬼が交戦している中、フェリドとクローリーはぼやく。傾いたビルの上、縁に腰掛け、脚をプラプラさせるフェリドは、隣で腕を組み突っ立っているクローリーを見た。
「クローリー君、何か面白い事してよ〜。内臓出すとか。」
「そんなことしたくないよ。服が汚れるだろ。」
「え〜、つまんないのー。人間はまた僕らを殲滅しに。僕らはまた腹を満たしに。
なーんも変わんないし。つまんないし〜。・・・お。お〜。」
「どしたの。」
遠くを見る様な仕草で、フェリドは立ち上がる。彼のよお顔が楽しそうに見え、クローリーは何となく聞いた。どうせ、いつもと同じく下らなくて、つまらないことなんだろうけど。
「女の子だ。」
「そんなの普通でしょ。」
「いやいや。見てよほら、多勢に無勢。」
「・・・ホントだ。しかも相手は全員男か。」
「助ければ？」
「えー・・・何で僕が。」
面倒臭そうに言うクローリーに、フェリドは立ち上がる。
「クローリー君が行かないなら僕が行く。」
「ぇ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アカネ*(プロフ) - いやいや、めっちゃおもろいですー！読ませてもらってます！！(￣▽￣) (2017年9月5日 6時) (
レス) id: b55415a21a (このIDを非表示/違反報告)
剣、(プロフ) - 巡ってくれてるんですか！？あ、有難き・・・。こんな更新しないプー太郎ですみませんーーーー！！！！！ (2017年9月4日 23時) (レス) id: 84eda379fa (このIDを非表示/違反報告)
アカネ*(プロフ) - んおおおおおお(( はい。やはり剣さんの作ったものは全部面白いです！頑張ってください！ (2017年9月4日 20時) (レス) id: b55415a21a (このIDを非表示/違反報告)
空 - 確かにな！個人だったら頭逝ってる人とやりてぇなｗｗ (2017年2月16日 20時) (レス) id: 76247c4d35 (このIDを非表示/違反報告)
剣、(プロフ) - まぁ相手に寄るわな (2017年2月16日 17時) (レス) id: 359f1a87d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：剣、 | 作成日時：2016年3月20日 0時
