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40:おはようございます、朝です。 ページ41

腕を組んで、目を閉じる。

吸血鬼の眠りは浅いものだ。Aの規則正しい寝息が、少しでも乱れたならば、彼はすぐにも意識が覚醒するだろう。

何か悪い夢を見たら。
何か悪い予感がしたら。
何か悪いものが近付いたら。

 すぐにでも叫んでいいからね、僕はここにいるから。

心の中で呟き、意識を落とした。


「・・・・・・・・、」
今までの寝息より、大きな溜息が聞こえた。ギシリ、とベッドが軋んでベッドシーツに擦れる音がする。
薄目を開けたクローリーは、顔を上げる。
そろそろ朝日が出るであろう、時間帯。部屋はまだ暗い。闇の中でも辺りが見えるクローリーは、Aの寝ているであろうベッドへ視線を移す。

「・・・」

少しクラリとキた。
ベッドから飛び出た、彼女の素足。スカートが足の付け根まで捲れ上がっている。暗い中で一際、白く目立つ、脚に自分の喉が鳴るのが分かった。
 あぁ、
きっと美味しいのだろう。あの血は。
そんな湧き上がった吸血欲求を抑え、彼女の脚をベッドへ戻して、タオルケットを掛け直した。
彼女の顔を覗き込むと、まだ気持ち良さそうに眠りの世界にいて。
眉間には皺も寄っておらず、伏せた睫毛も濡れておらず、汗を掻いている訳でもなかった。

 悪い夢は見てないんだな・・・

内心ホッとして、椅子に座り直す。また目を閉じた。

そこからしばらくして。

「・・・・・ぅ、ん・・・」

微かな声に、クローリーはまた反応する。辺りはもう明るくて、この部屋にも爽やかな光が差しこんでいた。

「そろそろか・・・。おはよう。」

「おはようございます・・・・・・・・・えっ・・・!?」

一度、普通に挨拶をした彼女は、寝惚け眼を見開く。クローリーの姿を確認すると、わたわたと寝癖の出来た髪と、少し乱れた服を直して、小さくすみません、と言った。
「やっぱり朝イチはキツいよね。」

「あ、ぅ・・・すみません、お見苦しい姿を・・・」

「いーよ。気分はどう?」

「大丈夫です、・・・クローリーさん、早起きなんですね。」
彼女の言葉に笑って、椅子を隅へ避ける。
「君、昨日・・・」
「・・・?」
穢れを知らない瞳を向けられ、開けた口が閉じてしまう。そして、
「何でもないよ。じゃ、僕は行くから。」
ポン、と彼女の肩に手を置き、背を向けた。ドアを開け、体を部屋から出すと、あの、と声を投げかけられた。

「ぁ、・・・め、迷惑でなければ、外で待って頂いても良いですか・・・?」

「・・・あぁ、いいよ。」

41:クローリーの色々。→←39:霊能者の才能あるんだよ、きっと。



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アカネ*(プロフ) - いやいや、めっちゃおもろいですー!読ませてもらってます!!( ̄▽ ̄) (2017年9月5日 6時) (レス) id: b55415a21a (このIDを非表示/違反報告)
剣、(プロフ) - 巡ってくれてるんですか!?あ、有難き・・・。こんな更新しないプー太郎ですみませんーーーー!!!!! (2017年9月4日 23時) (レス) id: 84eda379fa (このIDを非表示/違反報告)
アカネ*(プロフ) - んおおおおおお(( はい。やはり剣さんの作ったものは全部面白いです!頑張ってください! (2017年9月4日 20時) (レス) id: b55415a21a (このIDを非表示/違反報告)
- 確かにな!個人だったら頭逝ってる人とやりてぇなww (2017年2月16日 20時) (レス) id: 76247c4d35 (このIDを非表示/違反報告)
剣、(プロフ) - まぁ相手に寄るわな (2017年2月16日 17時) (レス) id: 359f1a87d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:剣、 | 作成日時:2016年3月20日 0時

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