30：働くお兄さん。 ページ31
クローリーの元へ来て、はや１週間と４日。他の階には足を踏み入れた事はないのだが、クローリーがいつも執務をこなす部屋は分かって来た。
その部屋へ行くまでは、少なからず視えてしまうのだが。だがクローリーのいる部屋は、もとい空間は、浄化されているかのようで。まるで、聖域だ。邪なものを一切寄せ付けない様で、安心が滲み出る様な心地がする。
「失礼します。」
「あ、Aか。どうぞー。」
いつも彼は何らかの資料を持っているのだが、今日は万年筆を走らせている。手つきとしては、サインでも書いているのだろうか、紙面から目線を逸らさずに、
「そこに座ってて。」
と言われたので、大人しく腰掛けた。シャ、シャ、と万年筆の先が紙を走る。
そして、暫くクローリーは黙々と作業をしていた。
Aは待っている間、ソファの前に置かれたテーブルに積み重なっている本を手に取る。表紙は皮で出来ていて、中を見れば大量の、文字、文字、文字。
本を読むことがさして苦ではなかったAは、クローリーと同じ様に、黙々とその文章を目で追っていく。
「・・・」
クローリーはふと顔を上げ、Aを見れば。真面目な顔つきで、ページをめくり、何かが分かったのか、急に驚いた様なカオをする。そんな彼女を見て、クローリーは自然と頬が緩んだ。
ただただサインをしていくのは、単純であって、疲れる。クローリーは立ち上がって伸びをし、彼女の隣へ腰掛ける。そして、背筋を伸ばし、綺麗な姿勢で読書をする彼女の後ろに手を回し、脇に差しこむ。
「よ、っと。」
「ん・・・、」
彼女を抱き上げ、自分の膝の上に乗せる。恐らく素の彼女だと、もっと慌てただろう。だが、今は本の世界の中。そう考えてしまい、何か虚しい感覚が自分の内部から滲みだしてきた。
「A。」
「なんですか？」
返事だって、素っ気ない。クローリーはむ、と頬を膨らませる。そして、良い事を思いつき、妖しく口角を上げる。
ちゅ。
「え？く、クローリーさん・・・？」
突然、自分の首筋に口づけを落として来たクローリーに声を掛けるが、
「気にしないで。読書を続けて。」
なんて返事があった。
「え？」
それは無理があるとAはクローリーを見るが、
「いいから。」
と、顔の向きを前に戻されてしまう。
「・・・はぃ・・・」
彼のキスは何ともくすぐったい。それと共に、遊ばれているようだった。試されている、とも言える。
触れるだけのもの、吸い付くと言う表現がピッタリもの。
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アカネ*(プロフ) - いやいや、めっちゃおもろいですー！読ませてもらってます！！(￣▽￣) (2017年9月5日 6時) (
レス) id: b55415a21a (このIDを非表示/違反報告)
剣、(プロフ) - 巡ってくれてるんですか！？あ、有難き・・・。こんな更新しないプー太郎ですみませんーーーー！！！！！ (2017年9月4日 23時) (レス) id: 84eda379fa (このIDを非表示/違反報告)
アカネ*(プロフ) - んおおおおおお(( はい。やはり剣さんの作ったものは全部面白いです！頑張ってください！ (2017年9月4日 20時) (レス) id: b55415a21a (このIDを非表示/違反報告)
空 - 確かにな！個人だったら頭逝ってる人とやりてぇなｗｗ (2017年2月16日 20時) (レス) id: 76247c4d35 (このIDを非表示/違反報告)
剣、(プロフ) - まぁ相手に寄るわな (2017年2月16日 17時) (レス) id: 359f1a87d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣、 | 作成日時：2016年3月20日 0時
