20：新しい生活の始まりです。 ページ21
「・・・ん、・・・」
何か、頬に感じる。それが妙にくすぐったく、Aは眉を顰めて体を捩った。
頬に感じていた何かが、首に移動する。何をしているのだろう。寝返りを打てば、頬に風を感じた。窓が開いているのだろうか。
「・・・。」
鳥の囀る声も聞こえた。と言う事は、
「・・・朝・・・！」
勢いよく起き上がれば、
「・・・ぁ・・・大丈夫・・・？」
「・・・・・・ク、ローリー、さん・・・？」
寝起きの半目とぼやけた視界を上へと移す。
「おはよう。」
ベッドの横で椅子に腰掛けている。
「ぁ、ぉはようございます・・。」
小さな声で答えれば、うん、とクローリーから返答があった。
「・・・あの、いつからここに・・・。」
寝癖がついていないか、慌てて手櫛を掛けながら、クローリーを見上げる。
「んー、１５分とか？」
「じゅ、１５・・・私何か、変な寝言とか、・・・言ってませんでした・・・？」
「そう言えば、やたらフェリド君の名前言ってたよ。」
ベッドから降りようとするAの動きが止まった。そのままギギギ・・・と音がしそうなくらい、ぎこちなく首が動く。
「・・・え？」
小さく目を見開き、Aは声を漏らす。
「え、フェリドさんの・・・え？名前・・・しきりに、ですか？」
「なんちゃって。」
「・・・嘘ですか・・・！？」
そんな寝言を言っているなんて事が本当だったなら、恥ずかしさで消えてしまいそうだ。しかもそれが冗談だったとしても、心臓に悪い。
「ごめんごめん。ちょっと楽しんじゃった。寝言なんて言ってないよ、大丈夫。」
そう言ってクローリーは笑う。その笑顔を見ると、彼がタチの悪い嘘を吐いたのも、どうでも良くなった。
Aがベッドから降りようと、再び体を動かすと、腕を掴まれた。
「何ですか？」
「今思い出した。僕が此処に来た意味。君の寝顔見に来るのもあったけど、アレだよ、食事。」
食事。その二文字にAは少し考えてから、あぁ、と声を漏らした。着ているパジャマのボタンを一つ外し、首筋を露わにする。
そして椅子の肘掛けに手を置き、自分から彼の口許へと首を出す。後頭部と腰へ手が添えられ、彼の吐息が耳に掛かった。
来る。
そう予感し、目を閉じて息を止める。癖なのだ。吸血の痛みは決して、痛くないと言える様なものでもない。自分の肌と肉に、鋭い、牙が突き立てられるのだ。フェリドからの吸血で少しは慣れたが、やはり痛い。
「いただきます。」
そんな声が聞こえた。
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アカネ*(プロフ) - いやいや、めっちゃおもろいですー！読ませてもらってます！！(￣▽￣) (2017年9月5日 6時) (
レス) id: b55415a21a (このIDを非表示/違反報告)
剣、(プロフ) - 巡ってくれてるんですか！？あ、有難き・・・。こんな更新しないプー太郎ですみませんーーーー！！！！！ (2017年9月4日 23時) (レス) id: 84eda379fa (このIDを非表示/違反報告)
アカネ*(プロフ) - んおおおおおお(( はい。やはり剣さんの作ったものは全部面白いです！頑張ってください！ (2017年9月4日 20時) (レス) id: b55415a21a (このIDを非表示/違反報告)
空 - 確かにな！個人だったら頭逝ってる人とやりてぇなｗｗ (2017年2月16日 20時) (レス) id: 76247c4d35 (このIDを非表示/違反報告)
剣、(プロフ) - まぁ相手に寄るわな (2017年2月16日 17時) (レス) id: 359f1a87d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：剣、 | 作成日時：2016年3月20日 0時
