「幸運に恵まれ」 ページ4
同じクラスだった私達は「やった」とハイタッチ。こんなに幸せで良いのか。好きな人と同じクラスになれるだなんて。私は彼よりも倍ぐらい喜んでいるに違いない。
教室に向かっている最中も、私達を見てくる目に変わりようがなかった。今尚彼の腕を引いている私はとんでもない顔をしているのだろう。私を見るとギョッとしてその場から早足で逃げて行く者まで出てくる。普通に失礼ではないか。
1ー2と書いてある教室に1歩足を踏み入れると、ガヤガヤしていた教室は私達を見ると一瞬シーンと静まった。
そして、直ぐに元のように喋り声が戻ると私は少しホッとする。
私が1番不安なのは楓ちゃんがクラスでいじめられないかである。いじめられたところで、私が守るのだが。
そしてまたも幸運の神様が私のところへ降り注いだ。
楓ちゃんと私の席が前後という幸運。私が前で、楓ちゃんが後ろ。これは最高過ぎないか。そういえばめざめテレビの占いで、さそり座が1位だった気がする。占いも捨てたもんじゃないな、とこの瞬間に感じる。
「よかったね」
ふふっと可愛らしく笑う彼に私も「うん」と返す。しかし私の隣には髪を金髪に染めたヤンキーらしき男がいる。喧嘩を売ってきたらボコボコにする予定だ。
ガラッと扉を開けて入ってきたのはスーツを着た若い女性。きっとこの人が担任となる先生だろう。厳しそうな威厳を持っているが、何だかやっていけそうな気がする。
「今年、このクラスを担当させて頂く
「よろしく」と素っ気なく挨拶をする先生は社会科担当らしい。社会は苦手なので少しドキマギしてしまう。担任とは少なくとも仲良くなりたいのだが。そして「自己紹介をしましょう」と1人1人自己紹介をすることになった。しかし、楓ちゃんは自己紹介が苦手なのである。私の背中をトントンと弱く叩くと眉を上げて不安そうにしていた。
「大丈夫」
と、私が優しくそう声を発すると少し安心したのか彼も優しく口角を上げた。私は無事にいつも通りのテンションで自己紹介を終える。そして、順番からすると次に自己紹介をするのは楓ちゃんである。私は心の中で頑張れ、と応援する。
「あ、え、えと葉室 楓です。あ、す、好きな教科は美術、です。苦手な教科は数学、です。これから、よろしくお願いします」
私は、「よくやった」と心の中でガッツポーズ。
しかし私の隣のヤンキーはハイテンションのままある質問をした。
「楓さんって女?男?」
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雪見だいふく(プロフ) - 旅人さん» ありがとう御座います。更新頻度は遅めかもしれませんが、楽しみにして下されば嬉しいです。 (2019年2月20日 19時) (レス) id: b9c47787f2 (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - 考えさせられる小説ですごく良いと思います。更新楽しみにしてます。 (2019年2月19日 13時) (レス) id: 2893bc3ddf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪見だいふく | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/
作成日時:2019年1月9日 20時