27話 ページ32
21時過ぎ。
誰もいないオフィスで私は独りでにカチャカチャとパソコンのキーボードを叩いていた。
同僚に「手伝え」とお願いしたのだが、「用事があるの」とその場をしのがれた。
朝8時から仕事をしていて今は21時過ぎ。これは、労働三法に違反しているということで訴えて良いだろうか。
私はイライラする頭で、やっと残り1枚のプリントに手を出した。
私はそこで「あっ」と声をもらす。
「由梨と約束してたんだった」
約束というより無理やりお願いされた、と言う方が正しいのだろうが。
外を見るとザーザーと降る大雨。だがこんな大雨の中、私のことをわざわざ待つ訳ないと私は仕事を続ける。
そして22時になるチャイムが鳴ると私は「終わったぁ！」と1人で喜びを感じた。
しかし、これは本格的に社長に文句を付けてやろうと確信する。
私はフラフラとする体を頑張って動かすと車で家まで向かう。
いつの間にこんなに雨が降り出したのか。ずっとオフィスに閉じ込められていた私には分からなかった。天気予報でも雨とは言っていなかったはずだが。
結果、こんな大雨に見舞われるだなんて。今日はついてないな、としみじみと感じた。
「……ただいま」
私がそう声を出すと、由梨から声が返ってないので少し疑問を覚えた。しかしその疑問を一瞬で解消される。
こんなに遅いんだから、さすがに寝てるか。
桃子ちゃんは仕事で1週間、家に帰ってこないらしい。寝室へ向かうとそこには由梨の姿が見つからない。
いやまさかだが、この雨の中駅前で待ってる訳ないよね……
と急に焦りを感じると、眠さを吹き飛ばすほど急いで車で駅前まで向かう。
彼女に残業があるとも伝えていなかったはずだからもし、本当に待っていたら3時間はその場にいるはずだ。
私が急いで駅前に向かうと、そこには見慣れたその姿。
「な、ば、バカでしょ！」
私は車を降りると、彼女に一喝する。外に出るとかなり寒い。こんな中、3時間も待っていてくれたのか。しかも……私なんかの為に。
「お仕事、お疲れ様です」
彼女はいつものように、純粋で綺麗に微笑むのだが私はそれに心臓が痛いほど締め付けられた。
「この時間に行くところとしたら、ホテルぐらいですかね」
と。「ノリでいっちゃいます？」と冗談交じりにそう声を放つ由梨に、私はなぜだか涙が止まらなくなった。「え、ど、どうしました？」と由梨はかなり焦っている様子だが、私はその場に座り込み、1人泣きまくっていた。
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ゆ - 尊い (2019年5月12日 17時) (
レス) id: 0c30cd4e30 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのキッコーマン(プロフ) - 途中までしか見ていませんが、とても僕はこの作風好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年5月5日 18時) (レス) id: 6ae7a02465 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - ありがとう御座います！そんなこと、あるんですね笑 もしかしたらその小説の作者さんと気が合うかもしれません笑(？) (2018年12月31日 14時) (レス) id: b9c47787f2 (このIDを非表示/違反報告)
Fall ill apple(プロフ) - お気に入りさせてもらいました。余談ですが私の好きな小説の主人公(？)と同姓同名で少し驚きました…笑 (2018年12月31日 13時) (レス) id: c31f5fcd9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪見だいふく | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/
作成日時：2018年12月29日 16時
