24話 ページ29
「どっか出掛けない？」
会社が休みで暇を持て余していた私は、由梨にそう声をかけた。
由梨から遠回しの告白を受けて今日で丁度1週間。
気の所為か、由梨は前よりも私に話しかけてくることが多くなった気がする。普通は逆ではないのか。
「それは……、デートのお誘いってことですか？」
「まさか咲良さんから誘ってくれるなんて」と、馬鹿なことを抜かす由梨に私は大否定。
「ち、違うから！」
女の人からアプローチを受けたことは人生で1度もないし、私は慣れないことでいっぱいだ。それよりも由梨は同性からモテる系の女子だな、としみじみと感じる。
私は、由梨から嫌われていると思っていたので今でも理解が追いつかなかった。
外に出ると、真冬ということもあってとてもひんやりしている。
手袋持ってくれば良かった、と今更後悔。
それは彼女も同じなのだろうか。手の摩擦で熱を起こそうとしている。
しかし、この寒さはそれではどうすることも出来ないだろう。
「寒いから、手繋ぎません？」
そう言い、手を差し出す由梨に私は「はぁ！？」と驚く。いや、普通に通行人に見られるし。私はそこまで精神が強い方ではないのだが。
私は「絶対にやだ」と大否定するも、彼女にとってそれは無意味だったらしい。
私の手を取り、無理やり私の手を握る。
彼女の手も私に負けないほど冷たかった。そして普通に握っていた手を少し動かすと、どこかで見たことのある握り方に。
「ほら、温かいです」
それぞれの指が交差している。これはきっと世で言う恋人繋ぎ。
私が少し抵抗してもガッチリと握りしめられていてどうすることも出来ない。
しかし、不本意なことに手は段々と温かくなっていく。この温かさは由梨の温もりなのだろうか。しかし私はそれだけが理由ではないと分かっている。分かっているがそれを言葉にするのが怖かった。
「ば、ばかじゃないの……」
そう言ってまたも棘のある言葉をもらしてしまう。由梨は、ははっと笑ってくれているが。
何故、私を好きになったのか分からない。
こんなに棘のある言葉ばかり口にする生真面目なアラサーのどこを好きになれるのか。
いくらそんなことを思っても、私の手はこれでもかと言うくらい熱かった。
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ゆ - 尊い (2019年5月12日 17時) (
レス) id: 0c30cd4e30 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのキッコーマン(プロフ) - 途中までしか見ていませんが、とても僕はこの作風好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年5月5日 18時) (レス) id: 6ae7a02465 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - ありがとう御座います！そんなこと、あるんですね笑 もしかしたらその小説の作者さんと気が合うかもしれません笑(？) (2018年12月31日 14時) (レス) id: b9c47787f2 (このIDを非表示/違反報告)
Fall ill apple(プロフ) - お気に入りさせてもらいました。余談ですが私の好きな小説の主人公(？)と同姓同名で少し驚きました…笑 (2018年12月31日 13時) (レス) id: c31f5fcd9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪見だいふく | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/
作成日時：2018年12月29日 16時
