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20話 ページ25

「うわ、懐かしい」



暇を持て余していた私は、昔の写真をじっくりと見ていた。するとそこには、私と由梨が出会ったばかりに撮った写真が見つかる。懐かしい気もするが、もう1年も経ったのかと少し驚きも隠せない。

その写真には笑顔を見せない私達が見える。この時は、私と由梨がまだ仲が悪かった頃だから空気も険悪だったと思いを巡らす。そして、そこには引き攣った笑顔を見せる桃子ちゃんも。



でも、まさかだ。そんなに仲が悪かったのに付き合うことになるなんて。
そして私は写真を手にしながら、昔の思い出に浸かった。












「ねぇ、バカなの?」


私は、今とても怒っている。またあの不良がやらかしたのだ。


「そんなに怒るなんて幼稚ですよ」


それもそのはず、お気に入りのCDを壊されたのである。
決して彼女もわざとではないのだろうが。
怒っている理由が本当に幼稚だとしても、この人にだけは言われたくない。
私はふつふつと湧き上がってくる憤りを抑えることも出来ずに、いつも通り怒鳴り散らす。


「はぁ!?年上に向かって何言ってんのよ!」


ここまで来るともう取り返しはつかない。私は元々地味だったので、不良っぽい子達とは学生時代に関わらないで生きてきたからどう関わっていけば良いのか分からないのである。


「2人共ストップ!」


そしていつも通りの展開。桃子ちゃんが必ず止めに入ってくれる。桃子ちゃんと私だけだった時にはこんなことは全くなかった。しかし、この不良が入り込んだせいで険悪な雰囲気に包まれてしまった。


「……ッ、ほんとになんで来たの」


と、私は赤崎由梨に向かってそう言葉を発する。すると桃子ちゃんは「こら!」と私にお叱りの言葉をかけてきた。赤崎由梨はいつものポーカーフェイスで何を考えているかは全く分からない。
今の言葉にも全く動じず、その鋭い目線はしっかりと私を捉えていた。

そして、シーンと場が静まる。何なんだこの空気。まるで私が悪いみたいではないか。



「……もう、写真撮ろっか」

「は?」「はい?」


桃子ちゃんが意味不明の発言をすると赤崎由梨と声が被ってしまい、また少し険悪な雰囲気が流れる。
それにしても、桃子ちゃんは本当に突然ぶっ飛んだことを言ってくる。


「写真撮ったら、少し近付くでしょ」


と馬鹿げたことを言っているが、そんなことで近付けるのならこんなに苦労していないだろう。

そして私達は桃子ちゃんに急かされ笑顔のない写真を撮ったのだった。

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設定タグ:百合 , GL , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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- 尊い (2019年5月12日 17時) (レス) id: 0c30cd4e30 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのキッコーマン(プロフ) - 途中までしか見ていませんが、とても僕はこの作風好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年5月5日 18時) (レス) id: 6ae7a02465 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - ありがとう御座います!そんなこと、あるんですね笑 もしかしたらその小説の作者さんと気が合うかもしれません笑(?) (2018年12月31日 14時) (レス) id: b9c47787f2 (このIDを非表示/違反報告)
Fall ill apple(プロフ) - お気に入りさせてもらいました。余談ですが私の好きな小説の主人公(?)と同姓同名で少し驚きました…笑 (2018年12月31日 13時) (レス) id: c31f5fcd9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪見だいふく | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/  
作成日時:2018年12月29日 16時

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