22話 ページ27
彼女が家に来てから既に4ヶ月ほど経つ。
もう4ヶ月か、と時間の進む速さに少し焦る自分もいた。
まだ仲良くはないが、前よりは近付いたということにしておきたい。
「咲良さん、時間あります?」
と、深夜にそんなことを聞いてくる由梨。もう、布団に入ろうとしていたのだが。しかし、もしかしたら何か重要な用なのかもしれないと思い、私は彼女の質問に肯定する。
「あぁ……、うん」
私がそう素っ気ない返事をすると、「よかった」とほっとしている彼女の姿が目に映る。
すると彼女は私の手首をガシッと掴むと、
「一緒に行きたいところがあるんです」
と。そして、私を無理やり引っ張ると「離れないでください」と猛ダッシュで家の外に出る由梨と私。
「な、なに」
私がそう焦りの声をもらすも、それには返事を返してくれない。普通にパジャマだし、髪の毛もボサボサのままである。
そして少しの間、彼女に腕を引かれ猛ダッシュしていた。いつも家にいるはずなのに何故か私よりも体力がある由梨。私は既に限界なのだが。
そして、やっと止まったかと思うと前には大きな鳥居が。
たまに目にする場所なのだが、深夜に2人だけだという状況は少し不気味だ。
その神社はこれでもかと言うくらい妖艶な雰囲気を醸し出していた。それはまるで、アニメの世界に入ったかのように。
「ここ……?」
と、私は不本意に声がもれてしまう。するとその問いに由梨は微笑んで「はい」と肯定する。
そして私と由梨は、静かにその鳥居を見つめていた。
「咲良さんと、来たかったんです」
静かにそう声を放った由梨はいつもとは様子が違うことが分かる。その目には色々な感情が入れ混ざって見えた。
「何で私と……」
私はそれだけが疑問だった。何故、この神社を深夜に私と来たかったのか。私はいくら自分で考えようと頑張っても答えは出てこない。
今の私の言葉は彼女に届いたのだろうか。
彼女は尚、目の奥に複雑な感情を抱いているように見える。
そして彼女は、風に負けてしまいそうな声を放った。
「ここって、好きな人と一緒に来るとずっと結ばれるらしいですよ」
私にはこの言葉の意味に隠された深い意味は分からない。
だが、今の彼女はとても綺麗な目をしていた。その目には何が映っているのか私には踏み入ってはいけないものがあるように感じた。
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ゆ - 尊い (2019年5月12日 17時) (レス) id: 0c30cd4e30 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのキッコーマン(プロフ) - 途中までしか見ていませんが、とても僕はこの作風好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年5月5日 18時) (レス) id: 6ae7a02465 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - ありがとう御座います!そんなこと、あるんですね笑 もしかしたらその小説の作者さんと気が合うかもしれません笑(?) (2018年12月31日 14時) (レス) id: b9c47787f2 (このIDを非表示/違反報告)
Fall ill apple(プロフ) - お気に入りさせてもらいました。余談ですが私の好きな小説の主人公(?)と同姓同名で少し驚きました…笑 (2018年12月31日 13時) (レス) id: c31f5fcd9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪見だいふく | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/
作成日時:2018年12月29日 16時