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15話 ページ20

私には、最近悩みがある。
それは、由梨からよく抱きつかれることだ。

「いいじゃない」と桃子ちゃんには言われたのだが、全くもって良くない。
どんな場面でも抱きつかれ、私の体力は既に殺られている。


何故抱きつくのか彼女に聞いたところ「咲良さんの匂いが好きなんです」と。


そして私は遂に新しい香水を買うのだが、抱きつかれはしないが嫌われない程度の匂いというものを探している。しかし、それがとてもとても難しい。いわゆる普通の匂いなのだが普通の匂いって何なんだ……と1人頭を悩ませていた。


「この匂い、良いかも」


香水店で沢山の種類の香水を嗅いでいたのだが、由梨の好みとは全く違う良い香りの香水を鼻に近付けた。彼女は、甘い匂いが好きらしいのだが私が手にしたものはミントの香りの香水である。


「これ、ください」とお会計を済ませると、家に着く前にその香水を1滴付ける。


ガチャっと家の玄関と扉を開けると「おかえりなさい」とリビングから声が聞こえてくる。
私はそれに釣られ「ただいま」と彼女のいる場へ向かう。
彼女がどんな反応をするのかを想像していて頬が緩みきっている。


ソファに座っている由梨の隣に私も腰を下ろす。すると、すぐさま私の匂いに反応する由梨。



「あれ、香水変えました?」



私は、「そうなのー」と得意気に声を放つ。いつもなら私がソファに腰掛ける瞬間に抱きついてくるが今日はそれがない。私は内心「よっしゃ」とガッツポーズ。



すると、いきなりギュッといつも以上に強い力で私を抱きしめる。
「は」と私は間抜けな声が出てしまう。



「いい匂いです」



と、鼻をクンクンさせて私の香水の香りを堪能してくる。彼女はまるで犬だ。もう、本当に犬だと思う。


「……ッ、」


彼女の鼻が私の頬に当たっていて私は少しばかり心臓に悪い。そして、彼女の髪が私の肌に直接触れるのでくすぐったさで声がもれてしまう。

それに耐えられなくなったのか彼女は私を勢いよくソファの上で押し倒す。今の私は、ソファの肘掛けに頭が乗っている状態で。


「えっ、ちょ」


と私は焦りの声しか出てこない。そしてシャツの中に忍び込んでくる手は繊細な指使いで私を間違いなく気持ち良くさせている。
彼女は「いいですよね?」と私の返答を待たずにそれを始める。
私はそれに頷くことしか出来ず。


そして、その行為が終わると私は二度と香水は変えないと誓ったのだった。

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設定タグ:百合 , GL , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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- 尊い (2019年5月12日 17時) (レス) id: 0c30cd4e30 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのキッコーマン(プロフ) - 途中までしか見ていませんが、とても僕はこの作風好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年5月5日 18時) (レス) id: 6ae7a02465 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - ありがとう御座います!そんなこと、あるんですね笑 もしかしたらその小説の作者さんと気が合うかもしれません笑(?) (2018年12月31日 14時) (レス) id: b9c47787f2 (このIDを非表示/違反報告)
Fall ill apple(プロフ) - お気に入りさせてもらいました。余談ですが私の好きな小説の主人公(?)と同姓同名で少し驚きました…笑 (2018年12月31日 13時) (レス) id: c31f5fcd9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪見だいふく | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/  
作成日時:2018年12月29日 16時

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