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「……頑張ってくださいね」
お会計を済ますと私は心臓の痛みに必死に耐えながら、そう言葉を発する。
私は涙が零れてしまいそうで、直ぐに絵里香さんに背を向ける。このまま絵里香さんを見ていると泣いてしまいそうだ。
と、私が背を向け歩きだそうとすると、後ろから「ねぇ!」と私を止める絵里香さんの声が聞こえた。
すると、片腕が彼女によって掴まれたことに気付く。
「へ?」と急なことで振り返ると、さっきのお花を反対側の手で私に差し出していた。
「これ、君にプレゼント」
「わ、私に?」
何が何だか分からない私は、必死に頭の中を整理するも答えは見いだせない。それどころか、気を使ってもらってしまったのではないかというマイナスな考えさえ浮かんでしまう。
私の動揺に気付いたのか、絵里香さんは首を傾げる。
「で、でも、好きな人にあげるんじゃ……っ」
と、言うと絵里香さんは一瞬キョトンとし、ははっと声に出して笑い出す。
その笑っている意味さえ分からずおずおずとしてしまう。このお花を私が本当に貰っていいのかどうなのか分からず、あともう少しで掴める筈のお花が掴めなかった。
「もう、察しの悪い子だなあ」
「ほら、貰って」と、私の手にそのお花を渡すと、絵里香さんは小さな咳払いをする。
太陽の日が、絵里香さんを照らしその眩しさに少しだけ目を細めてしまう。
「雪菜ちゃん、私、雪菜ちゃんのこと好きだよ」
「……っ!」
あまりに急な告白で、私は声にならない驚きを口に出す。
硬直したままの私に、絵里香さんは「返事は?」と。
私はハッとし、絵里香さんから貰ったお花を握りしめ、私は近くにあった白いお花を絵里香さんのところへと持っていく。
「これは……?」
「……白いアザレアです。花言葉は……」
と、少し口を止める。いつもなら言えるはずの花言葉が今となっては恥ずかしくて少し躊躇ってしまう。
「帰ってから調べてみてください……っ!」
私のその言葉に度肝を抜かれたらしい絵里香さんは、少し驚いたような表情を見せるも何かを悟ったのか私には、はにかんでいるようにも見えた。
「ありがとう。調べさせてもらうよ」
「じゃあ、また」と、過ぎ去っていく彼女を見送りながら、私は力なくその場に座り込んでしまう。
これは夢なのか、とぐるぐると思考を巡らすが明らかに現実であることに私は顔に熱が集まる思いを覚えた。
私は、「貴方に愛されて幸せ」です。
Fin
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読み漁り文々(プロフ) - 好きです~!百合のふわふわした感じが伝わってきます、、 (2020年7月27日 19時) (レス) id: 38e11e6f87 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - 雪見だいふくさん» お話、全部面白くて可愛くて好きです!更新頑張って下さい! (2020年5月5日 23時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - 奏さん» コメントありがとうございます〜!是非お話にしてみますね〜! (2020年5月4日 18時) (レス) id: 26dbbe1ca5 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - 性悪生徒の先生の嫉妬が見たいです。平気ですか? (2020年5月4日 11時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
そら - 雪見だいふくさん» あざます!!!!!!! (2020年5月1日 7時) (レス) id: 6770d884cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪見だいふく | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/
作成日時:2020年3月13日 8時