動物アレルギー ページ13
ーーー動物アレルギー
言わば、一種のアレルギーである。
くしゃみが止まらなくなったり、発疹が出来たり、最悪意識を失ったりなどの症状がでるアレルギーだが、動物アレルギーはその中でもマシな方だと思う。
だって、動物と触れ合わなければ良いだけの話。
日常生活に支障をきたすことはない。
そう思っていたのに……
「ねえ、萌花。どうしてあなたは猫なんだい」
「知らにゃいよ」
私の彼女は、猫です。
「知らにゃいよじゃないよー。私、このままだと萌花とキス出来ないまま死んじゃうよお」
彼女は第一印象人間の女の子。第二印象は、猫だ。
彼女には猫のような耳と、猫のような尻尾がある。その上、気まぐれだったり引っ掻いたりと少し中身も猫っぽいところがあったりする。
何故、彼女がこんなにも猫なのかは私には知る余地もない。
……彼女が言うには猫から転生したとかなんとか。しかしそんなファンタジーじみた話を信じる訳がない。
私がそう頭を悩ませていると、「ご主人……」と隣から私を呼ぶ声が聞こえる。そこには尻尾と耳をしょんぼりさせた萌花の姿。
「キス、ホントに出来にゃいのかにゃあ……?」
くっそ、めちゃくちゃ可愛い。
私は動物の可愛さなんかアレルギーで見たくもなかったので知らなかったが、ここまで可愛いだなんてなんで誰も教えてくれなかったんだ、くそ。ある意味殺しにかかってきている。
……と言っても、萌花は猫の中でもきっとまた違うタイプの猫、だと思うけど。……多分。
「キスしたいよお。なんで私は動物アレルギーなんだあ……っ!」
私がそう悶えると、ちょんちょんと遠慮げに触ってくる萌花。
その目はうるうると潤んでいて、とんでもなくあざとい。そのあざとさに気付いていながらときめく私はきっとお馬鹿。
「試してみるかにゃ?」
「にゃんですと?」
なぜか猫語が移った私はそう問い返す。
冗談で口にしたのかと思ったのだが顔を真っ赤にする萌花は、本気で言っていたらしい。これは、失敬。
「いやあ、私もしかしたら吐いちゃうかも……」
と。そう言うと、しまった!と言った後に自分の言った言葉に気付く。
萌花は顔を真っ赤にし、今にも泣き出してしまいそうな表情で。
「違うの!あの、アレルギーで、そういう症状が出ちゃうかもってことを言いたくて……!」
そう弁解するも、萌花は拳を握りしめ明らかに不機嫌なオーラが放たれている。
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読み漁り文々(プロフ) - 好きです~!百合のふわふわした感じが伝わってきます、、 (2020年7月27日 19時) (レス) id: 38e11e6f87 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - 雪見だいふくさん» お話、全部面白くて可愛くて好きです!更新頑張って下さい! (2020年5月5日 23時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく(プロフ) - 奏さん» コメントありがとうございます〜!是非お話にしてみますね〜! (2020年5月4日 18時) (レス) id: 26dbbe1ca5 (このIDを非表示/違反報告)
奏 - 性悪生徒の先生の嫉妬が見たいです。平気ですか? (2020年5月4日 11時) (レス) id: 990e5cc797 (このIDを非表示/違反報告)
そら - 雪見だいふくさん» あざます!!!!!!! (2020年5月1日 7時) (レス) id: 6770d884cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪見だいふく | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mayu02071/
作成日時:2020年3月13日 8時