On dört ページ14
「さ〜て、全ての準備は整った。実行部隊は三人。エンジニアにクロム、ケータイの運搬にマグマ、案内人にゲン」
いよいよ作戦決行となったところで、ひとつ疑問が浮上した。
ひょい、と手を挙げて千空に尋ねる。
「ね、司軍の監視役のほむらどうするの?」
「枝の雪の落ち具合からして、あの丘の近辺で監視しているのは予想がつくのだが……」
コハクも目を細めながら私の言葉に続く。
なかなかに優秀な彼女のことだ、絶対にここでどうにかしないと私たちの作戦は失敗する。
「いい線だろうな。こっから司帝国までの直線上だ。先制攻撃の企みを察知され、最悪ケータイの存在が司にバレれば、全てが終わりだ」
コハクの良すぎる目による予測に千空は同意する。
そして皆に改めて注意点を説明した。
それにごくり、と唾を飲み込む人が数名。
「はっ!真夜中にこっそり出発するってのは?」
「真空管とか運んでんだぞ。暗闇でコケたら終わりじゃねえか」
「スピードで振り切れないか?」
「この大荷物見ろバカ」
「ちょ〜っとリームーかなぁ」
銀狼の提案から始まって、わちゃわちゃと皆でどうほむらを巻くかを考えるけど、どうにも難しい。
うぅん、と悩んでいると、千空はクククと不敵な笑みを浮かべた。
「問題ねぇ。科学のビックリドッキリアイテムでほむらを逆サイドに引き付けてその間に本隊が出発する」
「科学のビックリドッキリアイテム……?」
──今度は一体どんなものが?
疑問符を浮かべる皆に、千空は指を立てて説明した。
「水に電気を流すと、水素&酸素がぶくぶく湧いてくる。その混合ガスを爆鳴気っつってな。鹿の膀胱とかのバルーンに詰めりゃ、爆発しても威力はカスだが……音だけはアホほどでけえ」
──つまりは音爆弾
それを先輩たちが出る方向とは逆の場所に仕掛けて、一気に爆発させるらしい。
かつてしてやられた陽動作戦をやるようだ。
雪を被せた蓑に隠れながら、色んなところに音爆弾を設置していく。
「おーし行くぞ。先制攻撃だ」
「音爆弾……点火!」
爆弾を雪で隠して、全ての工程が終わった。
千空に合図すると、彼は頷いて指示を出した。
それに合わせて銀狼がスイッチを入れる。
ボン!!ボボン!!と激しい音を立てて爆弾が爆発する。
しかし千空の言う通り、爆発音にしてはただ被さった雪が弾けただけで、威力は大きくない。
「逆サイド!今行って!!」
爆発音に紛れて先輩たちに声をかける。
三人は迷わずすぐに出発した。
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マジモンの名無し(プロフ) - たむたむさん» かなり過ぎてますが。もしまだ夢小説やっているのでしたら更新できませんでしょうか、、久しぶりにこのような素晴らしい作品に出会えて感動しております 陰ながら応援させていただきます (1月29日 15時) (レス) @page15 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
たむたむ - 更新しないんじゃん (2022年7月15日 18時) (レス) @page15 id: 957a1dccfb (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 忙しいかもしれませんが、更新待ってます!頑張ってください、応援しています…!! (2021年9月17日 18時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:___(かせん) | 作成日時:2021年4月12日 0時