Iki ページ2
百夜さんだって大学の教授をやってたんだ。それなりのエリートではある。
でもやっぱり千空の言う通り、百夜さんはムードメーカー的な性格もあって採用されたのだろう。
兄さんが尊敬するのが当然だと思えるほど、このレコードはロマンのある考えだ。
「レコードプレーヤーは今まで作ったモンで結構簡単に作れるぞ」
「わたあめ機のギアも使うのね」
「スイカが取ってきたんだよ!」
ラボのテーブルに、言われて集めた必要な材料を並べた。
今まで作ってきた物の中で使われていた部品たち。
一つひとつに、それぞれの思い出がこもっている。
「ハ!父上の盾を潰した甲斐があったな!大活躍じゃないか!」
「お前たちの役に立てれば……ふふ……父はそれでいい……」
コハクの感心したふうな声とは逆に、盾を見たコクヨウさんの声はやはり少し寂しげだ。
うん……それはとびきり思い出がつまってるはずだものね。
「こうやって人は年と共に社会の歯車になっていくのね……文字通り」
「誰が上手いことを言えと」
その様子を眺めていた先輩は、少し哀れみを込めて呟いた。
千空と一緒に呆れた視線を送る。
よくそんな台詞が思い浮かぶもんだ。
「お待たせしました。裁縫の時に使うものなんですが……」
最後に必要な材料は針だ。
流石にこれは今まで作った物の中にはなかったので、ルリに頼んだらしい。
少ししてから、布に包んだ状態で彼女は針を持ってくる。
「骨の針、レコードの再生側はラクなモンだ。……だが録音側はそうはいかねぇ。ガラス削るんだから硬ぇ石がいる」
「おぅ、コランダムとか、ダイアモンドとかだな!」
「あ゙ぁ」
「……」
不時着したときに、ソユーズに乗っていた彼らがコランダムを持っていたとは考えにくい。
とすると、ダイアモンドを使った可能性が高い。
よくあるダイアモンドと言ったら、結婚指輪とか?
百夜さんは結婚指輪は持ってなかったはず。
ならソユーズのメンバーが持ってたのかもしれない。
レコードを作るために、自分の結婚指輪を出して協力してくれる人がいるなんて……
この村は、そんな素敵なチームによって作られたのか。
なんだか今、レコードプレイヤーを作っているメンバーが、そのソユーズの6人に重なって見えた気がした。
「っしゃー!ソッコーで完成させてやったぜ!」
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マジモンの名無し(プロフ) - たむたむさん» かなり過ぎてますが。もしまだ夢小説やっているのでしたら更新できませんでしょうか、、久しぶりにこのような素晴らしい作品に出会えて感動しております 陰ながら応援させていただきます (1月29日 15時) (レス) @page15 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
たむたむ - 更新しないんじゃん (2022年7月15日 18時) (レス) @page15 id: 957a1dccfb (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 忙しいかもしれませんが、更新待ってます!頑張ってください、応援しています…!! (2021年9月17日 18時) (レス) id: 371a01970c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:___(かせん) | 作成日時:2021年4月12日 0時