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駆け寄ってくる朝ぶりの顔に動揺を隠せない。
「おー、チャナ！」なんて隣でスニョンが手を振ってるけど、小さく会釈しただけで彼はずんずんと私の方に向かってきた。
「ヌナ、これ忘れ物です！」
小さな紙袋を差し出して、彼は元気に言い放つ。いや、声でかいって。
食券を買いに行こうと先を歩いていたジュンやウォヌやジフンでさえ、足を止めてこちらを振り返っている。スニョンに至っては、どういう事？と首を傾げている。
「え、えーっと……」
「時計とイヤリング、
うちに置いていってましたよ」
「う……あ、ありがと」
「あとストッキーー……」
んぐ、と言いかける彼の口を無理やり塞ぐ。
「ストッキングをうちに置いていきましたよ」なんて、食堂前で堂々と発表するな。
紙袋をひったくるようにして受け取って、空気を読んでくれと睨みつけてみても、「他に忘れ物無かったですよね、ヌナ」なんて言って微笑んでいる。何この子。
「……ごめんスニョン、
先にみんなでご飯食べてて」
「は？ いや、どういう事だよ！」
「後で説明する」
「おい、ちょっと……！」
何だよおと吠えるスニョンを置いて、「ちょっとおいで」と後輩を連れ出す。私、まだこの子の名前すらちゃんとわかっていないんだけど。
人通りの少ない中庭の談話スペースまで来て、周りに知り合いがいない事を確認する。
あまり聞かれたくない話をしなければならないし。
「えっと、まず、昨日はありがとう
それから、忘れ物も」
「いえ、ヌナの役に立てて嬉しいです！」
「待って、ひとつずつ解決していきたい
……そのヌナっていうのは何？」
私がそう尋ねると、彼は不思議そうな顔をして「ヌナはヌナですよね……？」と言った。
当たり前みたいな顔をして言うからそういうものかと流されそうになるけど、いやいや。
つまり、どういう事なの。
「いや、私、君のヌナじゃありません」
「昨日、僕もヌナって呼んでいいか聞いたら
いいよって言ってくれましたよ」
「嘘……！ ごめんだけど、
本当に、全く何も覚えてなくて」
「えっ！ 酷いですヌナ！」
「本当に申し訳ないんだけど、
君のね、名前も……ちゃんと覚えてないの」
ごめんなさい、と頭を下げると彼はしょんぼりとした様子で「名前はイ チャンです、ヌナ」と教えてくれた。
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my(プロフ) - skyさん» ありがとうございます！少しずつですが更新続けていけたらいいなと思いますのでよろしくお願いします！ (2020年11月11日 23時) (
レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
sky - このお話の更新が楽しみです！更新頑張ってください！！ (2020年11月11日 21時) (レス) id: 31a51e30b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：my | 作成日時：2020年11月9日 1時
