3皿目 ページ11
看板を出して、店の前を少し掃き掃除しよう。
雲がひとつも浮かんでいないから、空の一番高いところまで見えそうな気がする。
そんな風によくわからないことを考えながらぼうっと上を向いていると、近くで足音が聞こえてきた。
「あれ、おはようございます」
「……あぁ、孫か」
「だからAですってばぁ」
「もう店開いてんの」
「あ、今開けようかなって思ってて」
「……そか」
「おじいちゃん買い物行っちゃったので
10分くらい待つことになっちゃうんですけど」
構わない、と言った様子で彼は「おん」と頷く。
私が引き戸を開けてどうぞと言えば、彼は店に入って隅の席に座った。
意外にも、ちゃんと朝食をとるタイプなんだ。
朝は食べないっていう人も、多いから。
「こんな朝早くにも来るんですね」
「あー……、さっき仕事片付いたから」
「えっ！？
じゃあ徹夜で仕事してたってことですか」
「まぁ…………」
やっぱり、彼がどんな仕事をしてるかわからない。
相変わらずの軽装で、キャップ。
足元はいつもサンダルだし、こんな格好で徹夜する仕事って、一体なんなんだろう。
「じゃあ、お粥とかにします？
ご飯、さっき炊いたやつだけど」
「や、普通ので。普通に食える」
「そうですか？
大丈夫ならいいけど……」
「むしろ腹減ってるから」
「白米が食いたくて来たんだよ」と彼は言う。
確かに、お米は美味しいけれど。
この後は、ゆっくり眠れるのだろうか。それともまた仕事？考えてもわからない余計な詮索をして、うんうんと唸っている。
そんなことより、はやくお茶出さなくちゃ。
「……孫もこの時間にいるの珍しいな」
「あ、私今日大学が休みなんです
それで一日中お店に出ようと思ってて」
「へぇ……」
「だからお客さん来ないかなって
思ってたんです！」
「は、俺？」
「そうですよ！」
だけど朝一番に来てくれちゃいましたね、と笑えば、彼は呆れたようにははと乾いた笑いをこぼした。
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svt11117(プロフ) - ほんとにすごく今更だけど、何故か急にこのお話のこと思い出して無性に読みたくなっちゃって漁りまくって読み返しちゃいました！初めて読んだ時と変わらずとても面白くて一瞬で読んじゃいました笑笑 自粛期間の私の唯一の楽しみでした、ありがとうございました､!! (2023年3月10日 20時) (
レス) @page30 id: 45166a94c7 (このIDを非表示/違反報告)
my(プロフ) - あやまろさん» コメントありがとうございます。書きながらちゃんと面白いのだろうかと思っていたので、そう言って頂けてうれしいです。引き続きよろしくお願いします！ (2020年11月8日 22時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
あやまろ(プロフ) - 初コメさせていただきます！今1番更新が楽しみな作品で更新される度ニヤニヤして読んでます笑 そして何よりお忙しい中更新してくださってありがとうございます！ (2020年11月8日 17時) (レス) id: 74f0e4a445 (このIDを非表示/違反報告)
my(プロフ) - ★たくさんお気に入りしてくださってありがとうございます！このお話は年内に完結するようにがんばりたいと思います。また別のお話や短いお話も書きたいなと思っています！ (2020年11月5日 19時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - めぐさん» お返事遅くなってすみません！コメントありがとうございました……！まただいぶ間隔があいてしまいましたが少しずつ進めていけたらと思っています。これからもよければお付き合いください！ (2020年10月17日 4時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：my | 作成日時：2020年2月16日 0時
