検索窓
今日:22 hit、昨日:38 hit、合計:154,542 hit

. ページ2

あぁ、やってしまったと思いながら、黙ってしまった彼になんと声をかけようかと顔を引きつらせていると、意外なくらいあっさりとした「じゃあ」という声がして、ほっと肩を撫で下ろす。


「どうぞ、好きなところ座って下さい」

「……どうも」

「いまお茶出しますね、
ちょっと何出せるか確認します」

「ん……」

「メニューはテーブルの上にありますので」


まぁ出せるかわかんないんだけど、そう思いながらお茶を注いでいると、席に座った彼が「いつもの……社長さんは?」と問いかけてくる。


「今日はもう上がってしまって。
よく来てくださるんですか?」

「……まぁ、たまに」

「ふふ、ありがとうございます」

「…………」

「お茶どうぞ、……何にされますか?」


お茶を出しながら注文を取る。
スープやちょっとしたおかずはまだ残っているし、ご飯もまだまだあった。
賄いを作って食べて帰るつもりだったから、この人一人分くらい変わらない。

おじいちゃんの味と違いすぎて怒られたりしないかは、少し不安だけれど。


「いつもこの定食……できる?」

「あ、はい。これは大丈夫です!」

「……じゃあ、これで」

「あの、結構お腹空いてます?」

「え……まぁ、はい」


かしこまりました、と小さくお辞儀をして、厨房へと入る。
あまり口数の多そうな人ではなかったのに、話しかけすぎてしまったかもしれない。
寸胴に入ったスープに火を入れて、本来よりも多い品数のおかずを小皿に乗せる。

小柄な人だから、あまり食べないだろうか。
あれもこれも食べてみてほしいと、皿に乗せすぎたかもしれない。
でも、結構お腹空いてるって言っていたし。


店にぽつんと一人座る彼は、流しっぱなしになったテレビをぼんやりと見つめていた。

.→←1皿目



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (419 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1221人がお気に入り
設定タグ:SEVENTEEN , ウジ , ジフン
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

svt11117(プロフ) - ほんとにすごく今更だけど、何故か急にこのお話のこと思い出して無性に読みたくなっちゃって漁りまくって読み返しちゃいました!初めて読んだ時と変わらずとても面白くて一瞬で読んじゃいました笑笑 自粛期間の私の唯一の楽しみでした、ありがとうございました、!! (2023年3月10日 20時) (レス) @page30 id: 45166a94c7 (このIDを非表示/違反報告)
my(プロフ) - あやまろさん» コメントありがとうございます。書きながらちゃんと面白いのだろうかと思っていたので、そう言って頂けてうれしいです。引き続きよろしくお願いします! (2020年11月8日 22時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
あやまろ(プロフ) - 初コメさせていただきます!今1番更新が楽しみな作品で更新される度ニヤニヤして読んでます笑 そして何よりお忙しい中更新してくださってありがとうございます! (2020年11月8日 17時) (レス) id: 74f0e4a445 (このIDを非表示/違反報告)
my(プロフ) - ★たくさんお気に入りしてくださってありがとうございます!このお話は年内に完結するようにがんばりたいと思います。また別のお話や短いお話も書きたいなと思っています! (2020年11月5日 19時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)
mayu(プロフ) - めぐさん» お返事遅くなってすみません!コメントありがとうございました……!まただいぶ間隔があいてしまいましたが少しずつ進めていけたらと思っています。これからもよければお付き合いください! (2020年10月17日 4時) (レス) id: 34a0877eba (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:my | 作成日時:2020年2月16日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。