見上げてみれば、花開く。【煉獄杏寿郎、猗窩座】

蝶屋敷 ページ6

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しばらくすると見慣れた屋敷が目に入る


「胡蝶！胡蝶はいるか！」


その人は門をくぐると鼓膜が破れそうなほど大きな声で叫ぶ
うぅ…鼓膜が死ぬ…

すると奥から一人の女性がこちらにやって来た


「煉獄さん、そんな大声を出さなくても聞こえます。静かにして下さい」

「うむ！すまない！」


静かにして下さいと言われたにもかかわらず
その返事は相変わらずの声量


「あら、その方は？」


腕の中で恥ずかしさのあまり小さくなる私を見ながらそう言った


「任務で一緒になってな
　腕と足を怪我している治療を頼みたい」

「分かりました
　では、こちらへ」


診療室の様な場所へ案内され
私はベッドのうえに優しく下される
やっと腕の中から解放された


「俺はまだ警備が残っているからこれで失礼する！
　大事にな」

「え！ あ、あの！」


わたしの声は届かずその男の人は颯爽と部屋を出て行ってしまった

お礼も何も言えてないのに…



怪我をした足と腕に包帯を巻いてもらった
わたしの治療をしてくれている女性は胡蝶しのぶと言うらしい
鬼殺隊の柱でありながら任務で怪我を負った隊士の治療をこの蝶屋敷で担っている

「胡蝶さん」と言うと
しのぶさんで良いですよ皆さんそう呼んでますし
と言ってくれた

優しい人だなと心が温かくなる


「これで大丈夫です」

「ありがとうございました」


私はその場で頭を下げる


「あの、しのぶさん
　さっき私をここまで連れて来てくれた方って」

「ああ、煉獄さんですか」

「煉獄さん…？」

「はい。きっとまたすぐにお会いできると思いますよ」


しのぶさんはそう言って優しく微笑む


「足を怪我していますしまだ夜も明けていません
　このままお帰りになるのは危険かと思いますので
　今日はこのままここでお休みになってください
　病室まで案内しますね」


そう言って立ち上がるしのぶさんの背中を私は追いかけた



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