見上げてみれば、花開く。【煉獄杏寿郎、猗窩座】

約束 ページ39

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それから2週間が経ち
捻挫も額の傷も良くなった私は任務に復帰している

今はちょうど鬼を斬っているところだ


ーー炎の呼吸 壱ノ型 不知火


ゴロっと首が転がりハラハラと消えていく鬼を確認し
私は日輪刀をしまい帰路に着く



任務を終え屋敷に戻って湯浴みをすませた後、杏寿郎さんの部屋を訪ねる
戻ったら話があると言われていたのだ


「杏寿郎さん失礼します
　お話とはなんでしょうか？」

「うむ！柱の件でな」


ここに座ってくれ、と杏寿郎さんの前に座る
真剣な表情をする杏寿郎さんを前に背筋がピンとなる


「俺は炎柱を引退した
　そして次にその炎柱になれるのは継ぐ子であるA。君だ。」

「わたし…ですか？」

「うむ。継ぐ子が柱を継承することができる
　Aはどうしたい？」


なんとなく気付いていた
杏寿郎さんが柱を引退すると言った時
次、炎柱になるのは私なんだと

でも…


「私は…柱にはなりません。」

「…！」

「今の私の強さでは柱には相応しくありません
　十二鬼月を倒すか鬼を50以上倒す
　それが出来た時胸を張って炎柱になります」


私は前から決めていた
柱になるならもっと強くなってからじゃないとダメだと

しばらく流れた沈黙の後、杏寿郎さんが一息つきフワッと笑った


「杏寿郎…さん？」

「すまない。
　Aが柱になりたいというのなら止める気はなかったのだが
　ならないという言葉を聞いて少しホッとしてな」

「え？」

「前にも言っただろう
　俺はAのことになると心配でしょうがないと
　柱になったら今まで以上に強い鬼との戦いが待っている
　Aの強さは俺が一番分かってるはずなのだが
　何度考えても柱になって欲しいと言う気持ちより
　Aを失いたくない気持ちが勝ってしまってな」


そう言って控えめに笑う杏寿郎さんは
いつもよりなんだか小さく見える

そんな姿がなんだか愛おしくて
そのまま近づきその体を抱きしめる


「私は杏寿郎さんを残して死んだりしません」


私の言葉にピクッと反応し
すぐに強く抱きしめ返す


「うむ。約束だぞ」

「はい。約束です」



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