見上げてみれば、花開く。【煉獄杏寿郎、猗窩座】

5 (杏寿郎side) ページ13

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Aに稽古をつけることにした
少しばかりアドバイスをし刀を振ってみてもらう

すると最初とは違う大きな炎が上がった


「よもや！Aは筋がいいな！
　少し教えただけでここまで変わるとは」


Aは俺の教え方が上手いだけだと言っていたが
この短時間でここまで変わるのは俺の教え方云々ではない
彼女の元々の素質だ
もっと鍛錬したら立派な剣士になるだろう



稽古の後、3人で食卓を囲い夕餉をとる
Aは千寿郎の作る料理を美味しそうに食べていた
目の前に並んでいた料理がなくなった頃
ふとAが口を開く


「大勢で食べると美味しいですね」

「Aはいつも一人で食事をしているのか？」

「はい。一人で暮らしているので
　何をするにも一人です」


よもや、一人で暮らしているのか
鬼殺隊であるからと言っても女性の一人暮らしとは心配だ
俺に何かできることはないだろうか…






あっという間に時間は過ぎ
Aは日が落ちる前に自分の家へ帰ることになった

俺は家の近くまで送ることにし、それまでの道のりを2人で話をしながら歩いていく
俺の話を横で嬉しそうに聞いている姿になんだか心が高鳴るのを感じながら


しばらくするとAは足を止める


「ここで大丈夫です
　送って頂きありがとうございました」


それではと頭を下げ俺とは逆の方向へ足を進めようとするAの腕を俺は咄嗟に掴んだ


まだ話をしていたい
まだ帰したくない

ここで別れたら次いつ会えるか分からない
このまま繋ぎ止めておきたいと思った


何も言わずただ腕を掴む俺を不思議そうに見つめる彼女の瞳に吸い込まれそうになる

なにか言わなければ…
彼女を繋ぎ止めることができる言葉を


ーーそうだ


「俺の継ぐ子にならないか？」


俺から出た言葉にAはびっくりした様子だったが
二つ返事でOKしてくれた
嬉しかった


Aと一緒にいたいと思う気持ちも勿論あるが
彼女が出す炎がこれからどうやって変化し
彼女がこの先どんな剣士になっていくのかを側で見ていたいと思った


たくさんの人を救う立派な剣士に俺がしてあげたい
そしてそんな彼女を守りたいと心から思ったのだ


Aはなにか言いたげであったが
俺は明日迎えに来ると別れを告げ軽い足取りで煉獄家へと戻って行く



「千寿郎！Aが俺の継ぐ子となることに決まった！」

「本当ですか兄上！良かったですね！」


明日から楽しみだ


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