見上げてみれば、花開く。【煉獄杏寿郎、猗窩座】

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夕餉を食べた後、私は日が落ちる前に家へ帰ることにした

千寿郎くんには泊まっていかれては？と言われたが
流石にそこまでお世話になるわけにもいかず
天使千寿郎くんに別れを告げ煉獄家を後にする


煉獄さんは、一人で帰らせるのは心配だ！と言って
私を家まで送ってくれることになった
煉獄家から家までの道のりをふたりで他愛のない話をしながら歩いていく

出会ったばかりなのに煉獄さんと話しているとなんだか心が温かくなる
この感情はなんだろうか
今はまだ分からない


ふと気付くと家の近くまで来ていた


「ここで大丈夫です」

「そうか」

「送って頂きありがとうございました」


それではと一礼して家の方向へ歩き出そうとした瞬間腕を掴まれた

私は驚き振り返る
そこには真剣で少しどこか寂しそうな表情をした煉獄さん


「れ、煉獄さん？」


わたしが問いかけても煉獄さんは何も言わずただわたしの腕を掴んでいる
どうしたんだろう

しばらくの沈黙の後煉獄さんがやっと口を開いた


「A、俺の継ぐ子にならないか？」


継ぐ子…？
わたしが煉獄さんの？何事？


「はい？！」

「そうか！即答とは嬉しいな！」

「え、あ！いや！今の “はい” は
　肯定の“はい”ではなくて…」

「そうと決まれば早速明日から俺の屋敷に来ると良い！
　やはり女性の一人暮らしとは心配だからな！
　明日迎えにくる！それまでに荷物をまとめておいてくれ！」


待って待って
展開が早すぎる
着いていけない


「ではまた明日だな！」


状況についていけず固まる私をお構いなしに
ひらひらと手を振りながら来た道を軽い足取りで戻っていく煉獄さんの背中を
私はただ眺めるしかなかった


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