７１ 蠢く都市 ページ37
「…え？」
アルクローネの胃の中へ入った私は、その光景に絶句した。
近未来的な建物、歩いている少年少女と中高年、幸せそうな表情、走っている車。
都市だった。
あるもの全てが輝いている、近未来都市。
だが、たった一つ、その光景に似つかわしくないものがある。
都市の真ん中、中心に穴のようなものが空いていて、そこに人のようなものが落ちていた。
人と呼べるものか分からない、グチャグチャなものまで敷き詰められている。
「…こっちや」
「え、うん」
私の前を先導する彼に従い、辿り着いた家の玄関のドアを開けた。
家の中は綺麗な薄い青一色に染まっていて、きちんと整頓されている。
でも、そんなことは私としてはどうでもよくて。
リビングの椅子に座り、私は彼が説明してくれるのを待った。
この都市について、この空間について。
「…そんな焦らんでも、ちゃんと説明するよ」
「混乱、してて」
「何から知りたい？」
「……この、都市？」
「まぁ、そうやんな」
彼は私の向かいに座り、いつの間にか出されていたお茶を飲む。
そして、辺りを警戒するように見渡してから、真面目な顔で説明を始めた。
「この都市は、アルクローネ自身の能力や。
「体内の空間を切り取り、都市を精製できる」っていうな。
ここにはアルクローネが使う能力の持ち主達が住んでる。
だから、アルクローネに食われた奴はみんなここで生きてんねん」
「…ここからは、出られない？」
「いや、出れる。
ここの暮らしが快適やから、皆出て行こうともせぇへんし、前例はないけど」
アルクローネは食べた能力者をここで保管してるってこと？
アイツが今まで食べてきた人達も？
じゃあさっき都市を歩いていた人達はみんな能力者で、ここに住むことを受け入れてるってこと？
…頭おかしいんじゃないの。
「この都市では願うだけで食べ物飲み物が出てくる。
ここに住む人達が負担するのは、アルクローネがその能力者の能力を使う時だけ。
出てきた腕輪に腕を通して、ちょっと力を使えば終わり」
「…のんびり生きてたい人にとって、ここは楽園ってわけね」
「そうや」
彼が頷き、茶を一口飲む。
アルクローネに協力さえすれば、幸せに過ごせる都市。
その協力が悪い方向に働いていると知りながら、なんでのうのうとできるの？
あと、私にはまだ気になるものがあった。
あのグロテスクな穴。
ここが楽園なら、あれは一体何なんだ。
私はなんで最初からこの楽園にいなかったんだ？
７２ 消化されるもの→←おーしーらーせー この後の展開についてー
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フール(プロフ) - アイウエオだよさん» 一応ピポポポのつもりです。分かりづらくてすみません…。ピポポポを使うところは話数的に自然消滅しました…。能力的には某竜依頼のパルプン○です。 (2019年4月3日 2時) (
レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
アイウエオだよ - 鬱先生の“あの能力”とは‥‥‥ (2019年4月3日 1時) (レス) id: 7bcfa840f4 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - テルさん» ありがとうございます…！これから少し忙しくなるので、更新が遅くなってしまうかもしれませんが、頑張ります！ (2019年3月25日 20時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
テル - 更新来た！無理せず頑張ってください！ (2019年3月25日 19時) (レス) id: ed9aff9576 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - d!すこすこさん» ありがとうございます！なるべく早めの更新を心がけて、頑張ります！ (2019年3月20日 14時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フール | 作成日時：2019年3月20日 12時
