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56 いただきます ページ21

「いただきます」


グルッペンの目の色が変わり、両手剣がアルクローネを切り裂く。
俺はすぐにAを退かしてアルクローネを追い、その首を斬った。
基本どんな傷でも瞬時に再生する彼女だが、首だけは再生に時間がかかるという弱点がある。
その隙に斬撃を叩き込むが、やはりその程度ではダメらしい。


「グルッペン食べたい!」
「っ…!」


アルクローネが俺の腕を掴み、体を引き寄せてきた。
キスにしては開ける口がデカいぞ、おい。
体を反転させ、俺はその口を蹴り上げる。
それとほぼ同時だった。


「……」


アルクローネの体が、地面から生えた植物に貫かれる。
誰の能力かと振り向けば、グルッペンが手をかざしていた。
彼の背にはトントンと同じ羽根が生えていて、俺のことが目に入っていないのか、その視線はアルクローネだけを射抜いている。
死の霧と風が吹いて、鋭く光る羽を運んだ。


「グルッペン…?」
「……」


アルクローネのナイフを素手で掴んだグルッペンが片手を軽く挙げると、俺とAの体が後方へと転送される。
ちょうどそこへ、赤いマフラーをなびかせ、トントンがやって来た。


「っ!マジかアイツ、またやりやがった!」
「何なん、あれは…」
「チーノ、俺以外の我々だの奴ら全員転送して城に帰還させろ!」


俺の言葉が聞こえないくらい焦っているようで、チーノとかいう奴に連絡を叫んでいる。
グルッペンがあの能力を使うことが、それほどヤバいことなのだろうか?
トントンは背の羽根を羽ばたかせ、グルッペンの隣に立った。
だが、それでも彼はアルクローネの方しか見ていない。


「グルッ…」
「それ!その能力が欲しいの!」


トントンの声をさえぎり、アルクローネが叫んだ。
そして、彼女から放たれた木々がグルッペンを包み、壁へとその体を押し付ける。
トントンが鋭い羽を飛ばして冷気を放つが、傷を気にせずにアルクローネは冷気の中を突っ切り、グルッペンに近付いた。
体を拘束する木々をマグマで燃やし、グルッペンは彼女へと死の霧を放つ。
だが、霧に触れる直前、彼女の姿が消えた。


「グルッペン!後ろや!」


グルッペンが振り返る。
その先にいたアルクローネは、網のような物をグルッペンに向けて放った。
もしかして、あの網は…。
反射的に俺は時を止めて、走り出した。


「いただきます」
「アルクローネ!」


時間停止の時間制限と同時に彼女の名前を叫び、グルッペンの前に立つ。
目の前に彼女の口が広がった。


 

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フール(プロフ) - アイウエオだよさん» 一応ピポポポのつもりです。分かりづらくてすみません…。ピポポポを使うところは話数的に自然消滅しました…。能力的には某竜依頼のパルプン○です。 (2019年4月3日 2時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
アイウエオだよ - 鬱先生の“あの能力”とは‥‥‥ (2019年4月3日 1時) (レス) id: 7bcfa840f4 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - テルさん» ありがとうございます…!これから少し忙しくなるので、更新が遅くなってしまうかもしれませんが、頑張ります! (2019年3月25日 20時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
テル - 更新来た!無理せず頑張ってください! (2019年3月25日 19時) (レス) id: ed9aff9576 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - d!すこすこさん» ありがとうございます!なるべく早めの更新を心がけて、頑張ります! (2019年3月20日 14時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:フール | 作成日時:2019年3月20日 12時

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