６４ 消化中 ページ29
ここは、どこなの？
私は確かアルクローネに食われて、死んだはずなのに…。
体は無傷だし、周りの景色は美しい草原。
どういうこと？
「……」
空は紺色。地面は緑色。
綺麗な光景とは裏腹に、じわじわと体を蝕んでいく闇が迫ってきた。
足元から少しずつ、黒いモヤが体を上ってくる。
ふわふわするような不思議な気持ちだった。
上ってくるモヤも当たり前のもののように思えてきて、私は空を見上げていた。
「…？」
「A…！」
腕が引っ張られ、上へと持ち上げられる。
紺色の空が割れ、緑色の地面から黒い手が伸びて私の足を掴む。
私はひたすら体を持ち上げられ、その手を振り払った。
腕を引っ張る誰かは、私の名前を何度も呼び、割れた空の先まで突き抜けて飛んでいく。
「A、目を覚ませ！周りを見るんや！」
「…？」
「俺を見ろ！」
誰かに叫ばれ、私は顔を上げる。
その瞬間、さっきまで見えていた美しい光景が、音を立てて崩れ落ちた。
足元の黒い手も、紺色の空も、緑色の地面も。
全てが真っ黒に塗り潰され、ガラガラと下へ落ちていく。
その瓦礫の間を縫って、私と彼は上へと抜けた。
「……誰？こんな塩顔の人、知り合いにいないんだけど」
「うるさいな！」
いや、本当に誰。
塩顔な彼は私の体を抱き上げ、お姫様抱っこの姿勢で飛んでいく。
それがしばらく続いた後、ピンク色の壁が見えた。
その壁の前で、急停止する。
「あれがアルクローネの胃の中や」
「…胃の中？」
「俺ら、食べられたやん。アルクローネに。君あのままやったら消化されとったで」
「消化…。ていうか、貴方本当に誰？」
「俺は…」
彼は説明しにくそうに口を動かしていたが、ゆっくり話し始めた。
「…俺は糸腹の体の中に入った、オスマンとショウの融合体や」
「は？」
「糸腹が食われたやろ」
「…うん」
「その後、ショウの腕が食われた」
「…そうね。私の、せいで…」
「オスマンもその前に、怪我しとった。あれはちょっとだけ体食われててん」
「うん…」
「体の一部だけを食べられた奴は、その部位の意識だけがアルクローネの体内で生きる」
「うん？」
「まぁ要するに、オスマンとショウの一部がアルクローネの腹の中を彷徨ってた。
んで、糸腹の体を見つけた。
二人は既に死んでた糸腹の体に入り込んだってわけや」
よく分からない。
そもそもこのはアルクローネの腹の中なの？
何でこんな変な空間なの？
何で私は生きてるの？
…ここから、出れるの？
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フール(プロフ) - アイウエオだよさん» 一応ピポポポのつもりです。分かりづらくてすみません…。ピポポポを使うところは話数的に自然消滅しました…。能力的には某竜依頼のパルプン○です。 (2019年4月3日 2時) (
レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
アイウエオだよ - 鬱先生の“あの能力”とは‥‥‥ (2019年4月3日 1時) (レス) id: 7bcfa840f4 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - テルさん» ありがとうございます…！これから少し忙しくなるので、更新が遅くなってしまうかもしれませんが、頑張ります！ (2019年3月25日 20時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
テル - 更新来た！無理せず頑張ってください！ (2019年3月25日 19時) (レス) id: ed9aff9576 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - d!すこすこさん» ありがとうございます！なるべく早めの更新を心がけて、頑張ります！ (2019年3月20日 14時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フール | 作成日時：2019年3月20日 12時
