２４ 懐かしい夢 ※オリキャラのみ ページ26
「リョウ、これどうする？」
「ショウのしたいようにしたら？」
遠い記憶。
まだ三歳ぐらいの私の目の前で、兄貴とその相棒が話している。
その二人が睨んでいる机の上には、次の戦争の地図が置いてあった。
兄貴の相棒、リョウさんが何の気なしに、いや兄貴を信用しているとでも言いたげに言ったが、それは兄貴にとっては逆効果だ。
「はぁ？そう言っといて俺が何かやろうとしたら文句言うんやろ？
お前、分かっとるんか？」
「これについてはホンマに何も言わんから！」
「……じゃあ、お前の嫁を前線に出して囮にするから…」
「あ、ストップ」
「何やねん！」
「それは悪意あるやろ！嫁一般人やねんぞ！ってか何で嫁の駒あるねん！」
嫁と書かれたピンク色の駒を、兄貴が一番前に置いた。
だが、すぐにその駒を払われてしまう。
必死の形相で否定するリョウさんを、兄貴はタバコの煙を吐きながら楽しそうに笑った。
非喫煙者のリョウさんには煙を向けない気遣いが、さり気なくて格好いい。
と、その時、リョウさんが私の方を見た。
「お、A。どうしたんや？早く寝なアカンやろ？」
「あにきがいいー！」
「俺じゃアカンのか！？」
「いやー！」
私を抱き上げようとするリョウさんから逃げ、兄貴の脚にしがみつく。
兄貴はタバコを置いて私を担いだ。
脇に抱えるだけの乱雑な持ち方だったが、この持ち方が私は大好きだった。
「あにきぃー！」
「よし、A。この戦場やと、どこにこのアホは置くべきや？」
「アホって何や！」
兄貴が机の上に私を乗せて、リョウと書かれた駒を握らせる。
私は兄貴の駒の隣に、その駒を置いた。
「何でそこがええか分かるか？」
「あほだからー！」
「正解や！偉い！」
「俺がアホやって教育すんな！おい！ショウ！」
リョウさんが机を叩く。
兄貴はそれが更に面白いみたいで、珍しく声を上げて笑いながら、私の頭を撫でた。
その手は、とても冷たかった。
「やー、やっぱ頭の構造がちゃうからな、このアホは。
弱いし使えへんし、それに…」
「でもあにき、りょうさんのこと、だいすきだよねー！」
「…え？ショウが？」
「いっつも、りょうさんのこと、えらいやつだって、ほめてるし！」
「…ショウ？ホンマに？」
「……」
兄貴の顔が真っ赤になって、私の頭が見事にスパァンと叩き抜かれる。
音は派手だが痛くはなかった。
その兄貴の顔は、今も忘れられない。
ああ、懐かしい夢だ。
この時代に、帰りたいなぁ…。
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みょん - 夢主ちゃん五感を消すどころか操っちゃった (2019年8月26日 15時) (
レス) id: 58ac6e7e16 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - ひよっ子さん» ご感想ありがとうございます！頑張ります！ (2019年3月17日 19時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
ひよっ子 - 主人公ちゃんの悲しい過去など とりあえず全部面白いです これからも頑張ってください！！(≧∀≦) (2019年3月17日 18時) (レス) id: a20f220c99 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - 兎危@ファンマークは子兎さん» チノ氏のキャラがまだ定まってないので探り探りですが…。これからも結構登場させるつもりです。 (2019年3月17日 9時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
兎危@ファンマークは子兎 - ち、チノ氏…！？！？まさか、チノ氏を書いてる人が居たなんて……！感激ですううううう(新人組推し) (2019年3月17日 9時) (レス) id: 029d2a2f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フール | 作成日時：2019年3月15日 17時
