１３ 追い詰める ページ15
「トン氏、行くぞ」
「はいはい、ちゃんと捕まってや」
グルッペンの腕を掴み、俺は能力で羽根を広げて廊下を飛ぶ。
俺にぶら下がったグルッペンは無邪気に笑い、一緒に飛ぶ感覚を楽しんでいた。
チーノの空間で移動させてもらえばいいものを、なんで彼は飛びたがるんだろうか。
二人でこうして移動していると、毎回不思議に思うが、彼の笑顔のせいでもういいやと諦めてしまう。
「到着だ！」
「…うわー、派手にやってんなぁ」
「ひとらん！」
「っ！？」
嬉しそうに着地したグルッペンの機嫌とは正反対に、俺は体温が急激に下がるのを感じた。
協力プレイが苦手な俺達の弱点がモロに出ている。
目の前でひとらんが視覚を奪われて戸惑ってるのに、なんでオスマン以外誰も助けようとしないんだ。
俺は背中の羽根を広げ、その戦いの中心にいる少女に羽を飛ばした。
「トントン！遠距離はアカン！」
「え？」
「…ひっくり返ってくるゾ！」
オスマンが叫ぶが、もう遅い。
グルッペンの予言が的中し、羽にかかる重力が反転されて、鋭い羽がこっちに帰ってきた。
この羽、金属に傷つけるぐらい鋭いんやぞー。
どうしようか。
とりあえず俺はグルッペンを庇って前に立ち、羽根で自分の体を包んだ。
多分、これでガードできたはず。
金属がぶつかるような音を聞き、もう良いだろうと羽を広げた時。
もう全弾防いだはずの羽が再び俺へと飛んできた。
「は？」
そっか、聴覚をイジられたんや…！
さっきの金属音は聴覚の異常によるフェイクだったのか。
そう理解した時には、羽は目の前にまで迫ってきていた。
くそ、あんま使いたくなかったんやけど…。
俺は冷気を放ち、羽を空中で凍らせる。
グルッペンは軽く俺に拍手を送り、死の霧を漂わせながら少女の方へと近付いた。
「オスマン」
「…分かった」
「チーノ」
「はい」
「ひとらんらん、ゾム、ロボロ」
オスマンが草木で少女の足を縛り、身動きを封じる。
彼女は滅茶苦茶に能力を放っていくが、それらは全てチーノの空間に吸い込まれていった。
少女が重力弾をグルッペンに放つが、ひとらんの太刀とゾムの弾丸がそれを撃ち落とす。
そのゾムの手には、兄さんによって造られた複雑そうな武器が握られていた。
五感を奪われても、脳に直接響くロボロの声が俺達の道を示す。
グルッペンの声だけで、少女が少しずつ追いつめられていく。
俺はグルッペンの隣で、能力を発動させる準備を済ませた。
「いくぞ」
「わかっとるわ」
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みょん - 夢主ちゃん五感を消すどころか操っちゃった (2019年8月26日 15時) (
レス) id: 58ac6e7e16 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - ひよっ子さん» ご感想ありがとうございます！頑張ります！ (2019年3月17日 19時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
ひよっ子 - 主人公ちゃんの悲しい過去など とりあえず全部面白いです これからも頑張ってください！！(≧∀≦) (2019年3月17日 18時) (レス) id: a20f220c99 (このIDを非表示/違反報告)
フール(プロフ) - 兎危@ファンマークは子兎さん» チノ氏のキャラがまだ定まってないので探り探りですが…。これからも結構登場させるつもりです。 (2019年3月17日 9時) (レス) id: baf0519c25 (このIDを非表示/違反報告)
兎危@ファンマークは子兎 - ち、チノ氏…！？！？まさか、チノ氏を書いてる人が居たなんて……！感激ですううううう(新人組推し) (2019年3月17日 9時) (レス) id: 029d2a2f18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フール | 作成日時：2019年3月15日 17時
