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からからと笑うルク。
「揺さぶられることがあっても靡きはしないでしょ。Aはそんなに愚かじゃないですし」
「分からないじゃない、そんなの」
「いやー分かりますよ。あいつはウルド様から離れませんよ。…それにウルド様も絶対手放さないでしょうしね」
そう悪戯げに言い、俺を見やる。
「…ああ。ルクの言う通りだ」
「そんな保証がどこにあるというの？」
「…Aは、絶対に私から離れない。そう《呪い》をかけた」
「《呪い》…揃いも揃って…」
呆れたようにクルルは呟く。
そうだ。俺は彼女に《呪い》をかけた。《愛》という名の呪いを。だからAは俺から離れられない。それを与えられるのは俺だけだから。
「…こんな奴らに愛情を向けられるAが哀れね…」
「悪いか」
「さぁ？捉え方は人それぞれでしょ。私なら御免だけど」
「ふん」
「まぁいいわ。仮に貴方から離れないとして。あの子をどうするの？」
「何も変わらない。私の側に置くだけだ」
「真祖は間違いなくあの子を取り戻しに来るわよ。貴方に勝てるの？」
勝てるか？勝てないだろう。
なにせ相手は真祖…吸血鬼の真の王だ。俺など一捻りで殺せるだろうから。
だが、だからとAを渡すつもりはない。
「相手が真祖でも、私は絶対にAを渡さない」
「…そう、」
それは揺るがない。絶対にAだけは守ってみせる。
「せいぜい頑張りなさいよ」
「言われなくとも…っ！？」
ぞわり、と背筋が粟立つ。
それは恐らく全員が感じ取ったはずだ。この、独特の気配を。
「真祖…！」
彼が現れた。
何故いまなのか。！まさか、
「っA…！！」
扉を開け放ち、駆け抜ける。
少し走ったところで白い何かが目に入った。
それは、
「…羽根…？」
ここに鳥などいないのに。何故羽根が落ちているのか。
ざわざわと嫌な予感が襲ってくる。
『…ぁ…ぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁあ！！！！』
響く絶叫。
それは彼女のものだった。
「A！！」
曲がり角を越える。そこに居たのは、
「っ…A…？」
背中から三対の純白の翼を生やしたAだった。
『ぐ、ぅぁぅぅうう…、…！』
頭を押さえて唸る彼女に駆け寄る。
「A！！」
こちらを見上げるその瞳は。
「！」
『ウ…ルド、』
以前のような鮮やかなアメジストの瞳になっていた。
ゆらゆらと不安定に揺れるその色が、縋るように俺を見上げる。
『ル、ド…ウルド…』
「A！」
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作者名：クウ | 作成日時：2023年4月5日 20時
