38、狂っているのはだれなのか ページ38
××
「む、無茶苦茶です！出来る訳がない！」
「不可能などあるものか。忘れたか？連中には �猜猫瓩�ある」
目の前で進んでいく会話についていくことが出来ない。それは探偵社と深く関わっていないルーシーも同じらしく、Aに「頁ってなんのこと……？」と小声で問う。
「……えっと……それは───」
「奴等は第一段階に『共喰い』で探偵社に梓弓章を与え、政府に近づけた」
虫太郎がAの言葉を遮ったことで、ルーシーの視線が再び虫太郎に注がれる。まるでAが答えられないことを悟って助け船を出したような、そんなタイミングだった。しかし虫太郎がAを助ける理由はないし単なる偶然だろう。
「第二段階。ここで『表頁』を使い現実を改変。探偵社をはめる。そして第三段階。ここで更にテロを起こす。───現在はここだ」
───最後に第四段階として『裏頁』に書き込めば───
「……国家が消滅する、ですか……」
安吾が呟く。苦渋に満ちたその声は、事の重大さをはっきりと示していた。空気が張り詰める。目眩がした。
「『裏頁』への書き込みは───次の満月に行うそうだ」
「あと十日……くそ……」
安吾が髪を掻き乱す。目の下の隈。生気のない顔色、まともな栄養を取っていないのだろう成人男性にしては細い身体。すべては不健康の証拠であり、Aは安吾に歩み寄った。
「大丈夫ですか」
「Aさん……ご心配をおかけしてすみません。ただ……気分は最悪です」
「お……押し付けがましいことを云いますが、ご自身のことを大切にしてください。坂口先輩が体調を崩したら、元も子もありませんから」
安吾は驚いたように目を見開くと、微笑みと頷きだけを返し、虫太郎に向き直る。一先ず、太宰に連絡を入れ、虫太郎を護送すると二人はアンの部屋から出た。
「……ねぇ……落ち込むのは分かるけど……」
二人が去り、黙り込んでいた敦と鏡花にルーシーは不安そうに声をかける。
敦は、笑っていた。
アンの部屋に敦の笑い声が響く。
「やった！やったよ、鏡花ちゃん！」
「私もすごく嬉しい」
彼らが笑っていられる理由がわからなかった。
どうしてこの状況の中、笑えるのだろう。
先刻の安吾を見ているときも、二人は必死に笑いを堪えていたのだろうか。いやなことばかりが頭を支配して、吐き気がした。彼らと一緒に笑えない自分が憎い。
「ちょ、ちょっと何！？辛すぎて頭が飛んでちゃったの？」
「違うよ、判らない？」
**
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柊あんず(プロフ) - 香さん» いつもありがとうございます〜！早速五部の続編もあげましたのでぜひ！！はい、番外編の方の更新はいつになるか分かりませんが今後とも宜しくお願いします…(笑) Twitterやコメントなど、本当に感謝しきれません…！ (2020年6月28日 19時) (
レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
香 - 四部完結おめでとうございます！四部は七竃ちゃんが不憫すぎて...五部でどんな展開になるのか楽しみです！ Twitterフォローさせて頂いたり、番外編の方のリクエストもさせて貰いました！五部も楽しみに待ってます！ (2020年6月28日 18時) (レス) id: 7e95bd0132 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 後書き。 これにて四部は完結となります！ページ数が足りなすぎて今回はここで書くことになってしまいました。ラストの表紙は竹やま様より。四部の感想などもありましたらぜひ(笑) それではまた近々五部でお会いしましょう！！ (2020年6月28日 0時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 香さん» ありがとうございます！四部もあと少しで終わりますからね！毎回感想を頂けてとっっても励みになります…！ふふふ…続きが気になると仰って頂けるのは作者として本当に嬉しいです…！今後ともどうか宜しくお願いしますね！ (2020年6月20日 20時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
香 - 更新されてる！！今回もとても面白い話ばかりでした！探偵社と七竃ちゃんの距離がだんだん開いていってしまうようでハラハラしてます。続きが気になりすぎる！！ (2020年6月19日 7時) (レス) id: 7e95bd0132 (このIDを非表示/違反報告)
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