30、与謝野晶子との再会 ページ30
××
「……天空カジノ……？」
聞いたことすらない名前にAは首を傾げ、そもそも私は未成年だからカジノに行けるはずがない、と眉を寄せる。あの秘書の悪質な悪戯か何かだろうか。
「A！」
聞き慣れた声に名前を呼ばれ、Aは咄嗟に紙飛行機をポケットに隠すように入れる。その様子を鏡花は見逃さなかった。
「与謝野先輩……！」
「あんたも無事だったンだねェ、良かったよ！」
与謝野がほっとしたようにAに微笑みかける。久々に見た与謝野にAも安堵の息を零し、そしてミッチェルが眠る車の中へ案内した。ミッチェルを治せるのは、与謝野しかいない。
*
ミッチェルの治療も無事終わり、彼女はつい数分前とは比較にならないくらい顔色も呼吸も安定した。与謝野の隣に座ったとき、彼女が口を開いた。
───フィッツジェラルドに裏切られた、と。
「フィッツジェラルドの取引は罠だ。
……妾達を隠れ家から誘き出す為の」
与謝野の言葉にAは僅かに顔を歪め、そして自分の手を擦った。自身の左手を右手で包み込むように、優しく撫でる。フランシスとの関わりが深いAが何を云っても無駄だと分かっている。
「───有り得ません。フィッツジェラルドは傲慢だけど部下を大切にします。探偵社を嵌めるにしても、このミッチェルさんの治療後にする筈です」
それは敦だからこそ説得力のあるものだった。
フランシスと一度対峙し、そして彼に打ち勝った敦の言葉だからこそ、与謝野も頷く。
「先ずはこの現場から離れましょう。
運転手さん、出発を───」
敦が運転席を覗き込む。
そこには二つの死体があった。
一人は刀で喉首を突き刺され、もう一人は腹部にナイフが刺されている。一目で与謝野の治療が出来ないことを判断出来るほどには悲惨な光景だった。
「敵襲です！車から降りて！」
しかし、車を降りた先には───既に敵の手が回っていた。奴は強敵だと、長年培った与謝野の勘がそう告げている。しかし、ここで身を引くことは出来ない。行きな、と与謝野の唇が動く。
「奴は妾が引き受ける」
「そんな……！奴一人なら三人で掛かれば勝機があるかも……！」
「そうです！与謝野先輩、どうか考え直してください！わ、私の異能力があれば───」
「あんたの異能力は敵が喉から出るほど欲しがっているものだ。万が一の事を考えて、ここに残るべきじゃないだろう」
でも、と困惑するAの頭に与謝野は手を置いた。
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柊あんず(プロフ) - 香さん» いつもありがとうございます〜！早速五部の続編もあげましたのでぜひ！！はい、番外編の方の更新はいつになるか分かりませんが今後とも宜しくお願いします…(笑) Twitterやコメントなど、本当に感謝しきれません…！ (2020年6月28日 19時) (
レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
香 - 四部完結おめでとうございます！四部は七竃ちゃんが不憫すぎて...五部でどんな展開になるのか楽しみです！ Twitterフォローさせて頂いたり、番外編の方のリクエストもさせて貰いました！五部も楽しみに待ってます！ (2020年6月28日 18時) (レス) id: 7e95bd0132 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 後書き。 これにて四部は完結となります！ページ数が足りなすぎて今回はここで書くことになってしまいました。ラストの表紙は竹やま様より。四部の感想などもありましたらぜひ(笑) それではまた近々五部でお会いしましょう！！ (2020年6月28日 0時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 香さん» ありがとうございます！四部もあと少しで終わりますからね！毎回感想を頂けてとっっても励みになります…！ふふふ…続きが気になると仰って頂けるのは作者として本当に嬉しいです…！今後ともどうか宜しくお願いしますね！ (2020年6月20日 20時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
香 - 更新されてる！！今回もとても面白い話ばかりでした！探偵社と七竃ちゃんの距離がだんだん開いていってしまうようでハラハラしてます。続きが気になりすぎる！！ (2020年6月19日 7時) (レス) id: 7e95bd0132 (このIDを非表示/違反報告)
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