15、清々しい朝を迎えて ページ15
××
それは清々しい朝の目覚めだった。
清々しい朝の目覚め、という定義が何なのかはよく分からないが一般的には矢張り小鳥の囀りや窓から差し込む太陽の光で目が覚めたときのことを清々しい朝の目覚めだと云うのだろうか。
「……今、何時？」
手探りで腕時計を探してみるも、いつもある枕元には見つからず───何故か私の腕につけられていた。腕時計外さないで寝ちゃったのかな、と昨夜の記憶を思い返す。あれ、でも。
「昨夜……どうしたんだっけ……？」
というか、昨日、何があったんだっけ？
「……え……いや、乱歩先輩が事件を解決して……それで……そう、国木田先輩の釈放が決まって……」
───大丈夫、落ち着いて。
一つずつ、言葉にして記憶を掘り起こす。
うん、大丈夫。大丈夫だ。覚えている。
覚えているけれど、どうにも何かが引っ掛かる。記憶の一部を忘れているような、そんな歯痒さ。何かを忘れているような気がするのに、何もわからない。そんな気持ち悪さ。
───思い出せないなら、仕方ないよね。
気がつけば、勝手にそんな言葉が口から零れ出ていた。確かに、考えても考えてもわからなくて、気持ち悪さが増すだけなら今は諦めた方が良い。
よし、と立ち上った時、身体が異常なまでに軽いことに気がついた。朝特有の怠さや疲れなんてものが、一切なかった。
*
「くっにきっだせんぱーい！」
留置所まで行くと、既に国木田先輩が待っていた。髪もきちんと結われ、普段の
「やけにテンション高いなお前……」
「そりゃあ国木田先輩の無実が証明され、釈放される日ですからね！今なら交差点の真ん中で踊り狂えそうな気分です！」
「頼むからやめてくれ」
冗談ですよ、と云いながら国木田先輩の隣を歩く。
うん、でも本当に、なんだか今日は心も身体も軽い。すごく楽だ。
「太宰先輩も「国木田くんがいないと仕事押し付けられなくて困るなぁ」と仰っておりましたし！」
「よし後でしばく」
そんな談笑を交わしていると、不意に、国木田先輩が足を止めた。生温い風が頬を撫でる。
「───国木田先輩？」
足を止めて、後ろを振り向く。
彼は云った。何処か暗い顔をして。
「行きたい場所がある」
ついてくるか、と問われ私は静かに頷いた。
**
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柊あんず(プロフ) - 香さん» いつもありがとうございます〜！早速五部の続編もあげましたのでぜひ！！はい、番外編の方の更新はいつになるか分かりませんが今後とも宜しくお願いします…(笑) Twitterやコメントなど、本当に感謝しきれません…！ (2020年6月28日 19時) (
レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
香 - 四部完結おめでとうございます！四部は七竃ちゃんが不憫すぎて...五部でどんな展開になるのか楽しみです！ Twitterフォローさせて頂いたり、番外編の方のリクエストもさせて貰いました！五部も楽しみに待ってます！ (2020年6月28日 18時) (レス) id: 7e95bd0132 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 後書き。 これにて四部は完結となります！ページ数が足りなすぎて今回はここで書くことになってしまいました。ラストの表紙は竹やま様より。四部の感想などもありましたらぜひ(笑) それではまた近々五部でお会いしましょう！！ (2020年6月28日 0時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 香さん» ありがとうございます！四部もあと少しで終わりますからね！毎回感想を頂けてとっっても励みになります…！ふふふ…続きが気になると仰って頂けるのは作者として本当に嬉しいです…！今後ともどうか宜しくお願いしますね！ (2020年6月20日 20時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
香 - 更新されてる！！今回もとても面白い話ばかりでした！探偵社と七竃ちゃんの距離がだんだん開いていってしまうようでハラハラしてます。続きが気になりすぎる！！ (2020年6月19日 7時) (レス) id: 7e95bd0132 (このIDを非表示/違反報告)
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