8、死んでもゆるせない ページ8
××
「お母さん、私を愛していますか」
「おかしなことを聞くね。こどもを愛してない親なんて、いないさ」
嘗て一度。一度だけ、母がそう云ってくれたことがある。こどもを愛していない親なんていない───けれど、私はその答えが聞きたかったわけではなかった。私はただ母には私のことを「愛している」と明確に口にしてほしかったのだ。
「やーい！捕まえられるもんなら捕まえてみろー！」
「うおー！絶対捕まえてやる〜！」
鬼ごっこをして遊ぶ陽気な子供達をただ何も考えずに眺めていると聞き慣れた声が、私の名を呼んだ。
「Aちゃん」
「……中島、先輩……」
そっと振り向くと心配げな表情を浮かべた中島先輩が立っていた。ずっと探し回ってくれていたのか額には汗が浮かび、呼吸は荒い。どうして私は彼らに迷惑をかけることしかできないのだろう。
「……ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません」
「……Aちゃん……そんな、迷惑なんて……」
「いえですが……紛れもない迷惑行為だったと思います。ですから、ちゃんと謝罪を、」
「どうして……そんなこと云うの？」
そこで私は漸く気づいた。
中島先輩の瞳は怒りと悲しみに染まり、その声が震えていたことに。一番傷つけたくなかった人をひどく傷つけてしまったという事実に、私は泣きたくなった。
「迷惑なんて僕はそんなこと思ってない！
寧ろ、Aちゃんがあの女の人の云いなりになって探偵社を出ていこうとしたことが……ただ悲しい。僕は……そんなに信頼出来ないかな……？」
「っ、いえ……それは違います！ただ私は……これ以上ご迷惑をかけたくなくて……それに、お祖母ちゃんも決して悪い人ではないのですよ。私がヨコハマに行くと云ったとき、とても反対されましたけど……最終的には止めないでくださいましたから……」
「でも……無理矢理連れて行くなんて……」
中島先輩は何か云いたげに唇を動かすが結局言葉が見つからなかったのか、静かに目を伏せるだけだった。
「中島先輩……そんな顔、しないでくださいな。先輩には笑顔が似合いますよ」
「笑顔が似合うのはAちゃんだって同じだ。……ごめん……僕は、弱いんだ。どうしようもなく、弱いからたくさん背負えないんだ」
「……弱くても、強くても、中島先輩は中島先輩ですよ」
中島先輩が目尻を赤くさせ、笑う。
弱さも強さも関係無いし、中島先輩がいてくれるだけで、私はただ嬉しかった。
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柊あんず(プロフ) - 乳酸菌 チーズさん» こちらの方にもコメントありがとうございます！目……目、大丈夫ですか！？ムスカ大佐！？((( (2020年1月25日 21時) (
レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
乳酸菌 チーズ(プロフ) - 目ッ…目がァァ……！！！← (2020年1月25日 20時) (レス) id: df6c59ac1d (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 果汁ジノ％さん» 国木田さんがいたのはアニメですね！確認しましたがやっぱり原作のパーティーに国木田さんはいなかったのでもう既にあの時には捕まっていたんだと思います！よってこれは伏線ではありません……(笑) (2020年1月25日 19時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
果汁ジノ％(プロフ) - 原作では国木田さんもパーティーに出ていたような…まさか、逮捕の時期が早まったのも伏線なのか…！？ (2020年1月25日 19時) (レス) id: 119f59d457 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - ひいやさん» コメントありがとうございます〜！33話の伏線、そして腕の件は四部でちゃんと回収するのでご安心ください〜！「緑の灯」についてはフィッツジェラルド様の著者「グレート・ギャツビー」からの引用になるので、完全に史実ネタですね！ (2020年1月25日 11時) (レス) id: 5d7d3376c6 (このIDを非表示/違反報告)
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